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日本国内には1200万人の傷害犯罪男、180万人の殺人未遂男が野放し

深井恵2008.01.17

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日本国内には1200万人の傷害犯罪男、180万人の殺人未遂男が野放し
先日、「全国シェルターネットワーク会議」事務局と北海道のNPO「法人女のスペース・おん」でご活躍されている、近藤恵子さんをお招きして学習会をしました。これは、その時に近藤さんのお話に出てきた数です。いきなりどういうことかと思われた方も多いと思われますので、この数字の根拠を説明します。


日本人の人口は約1億2千万人。うち半分が女性だとすると女性の数は6千万人(本当は女性の方が多いのですが)。この6千万人のうち、20歳以上の女性を6割として3600万人。
一方、内閣府の調査では、日本人女性の3人に1人がDV被害経験者、20人に1人は命の危険を感じるくらいの暴力を受けた経験があることが分かっています。

・・・ということは、
20歳以上の女性3600万人の3人に1人=1200万人の女性が傷害犯罪の被害者。
20歳以上の女性3600万人の20人に1人=180万人の女性が殺人未遂の被害者。
つまり、それと同じ数だけ加害者がいるということになるのです。
1200万件の傷害事件。180万件の殺人未遂事件!!

内閣府の調査結果は以前から知っていましたが、改めて人数を概算すると、こんな恐ろしい実態が・・・。毎日毎日報道してもし尽くせないほどの数。一歩家を出て他人に対して殺人未遂を犯せばすぐに事件になるのに、家の中で妻に対して殺人未遂を犯しても犯罪にはならない。加害者はほとんどおとがめなし。仕事も 追われることなく、社会的地位も維持したまま、のうのうと社会でくらしているのです。

その一方で、加害者と別れられずに我慢して一緒に暮らし続けている女性たち。意を決して別れても、被害女性は加害者から逃げ隠れるようにした生活を余儀なくされています。ときには子どもを連れて住み慣れた場所を離れなければならないケースもあるのです。
「子どもを連れて」で思い出しましたが、近藤さんのお話で印象に残っていたことがもう一つ。それは「子どもは一つの人格として大人と同等に扱われるべきで、DV被害を受けた子どもは特に心のケア等大人以上に十分な対応が必要である」ということでした。
DVから逃げてきた母親とその子どもがいる場合、「婦人相談所」では子どもを「同伴児」と位置づけます。DV当事者へのケアはまず母親に対して行われ、子どもには不十分な状態です。実際、カウンセラーなどの人的措置も不十分で、子ども相手の教育関係者もほとんど確保できていないのが現状です。学習権も心の ケアも十分に受けられないまま、子どもも不安定な状態で過ごすことになります。予算と人的措置が求められます。

また、近藤さんの「政策は当事者にしかつくれない」という言葉もずっしりと重みをもって受け止めました。DV防止の基本計画や条例などの策定に、当事者が委員として関わっていくことの重要性。国や地方自治体の政策の不十分な点、改善すべき点など、当事者にしか分からない細やかな支援策を作り上げていくため には、積極的に政治の中に入っていって、自ら違憲を表明して、官民一体となったネットワークづくり、支援策策定がこれからますます欠かせないということでした。
学校現場でデートDV防止教育を試みたり、相談機関を紹介したり、直接子どもたちにかかわっていく中で自分にできること。暴力を許さない、ジェンダーの視点で教育を見つめなおしチェックしていくこと。親しい間柄の暴力は、異性愛者だけでなく、同性愛者等のセクシュアル・マイノリティの人たちにも起こりうると伝えること。
学校の中で自分にできることを地道に日常の教育活動で実践していくだけで終わらず、政策決定の場に自ら出かけて行って、政治にかかわること。
丸山真男の「『である』ことと『する』こと」が想起されました。政治は政治家に任せておけばいいのではなく、一人の教員「である」と同時に、政治にかかわり行動「する」必要性。その姿勢を自らの行動をもって子どもたちに伝えられる存在になりたいものです。

最後に近藤さんの言葉をもう一つ。
1200万件の傷害事件。180万件の殺人未遂事件。
その加害男を全員刑務所に入れてくれ、そうすれば女性は安心して暮らせるのだから。

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