11月10日(土)の日本経済新聞夕刊に、おもしろい記事がありました。「JAPASIA ??アジアの中の日本??」という連載記事なのですが、インドネシアで日本語の名前を使った商品が売り出されているというのです。
記事にあったのは、カルビーの「かっぱえびせん」。その名も「MINORI」(みのり)という名前で販売されているとのこと。記事によると、その「MINORI」、昨年9月に「MEGUMI」(めぐみ)の名で売り出されていたところを、今年から名前を「MINORI」に変更したとか。「かわいい日本の女子を連想してイメージがいい」そうです。
北原さんのインドネシア進出の足がかりに一役買ってくれる宣伝効果が期待できるかもしれません。(・・・スクールフェミのインドネシア進出は断念しようっと)。
さて先日、「思春期の恋愛や性について」をテーマに地元の大学生による「思春期ピアカウンセリング」が本校で行われました。この事業は県教育員会の委託を受けて行われています。ピアカウンセリングとは、一言でいうと「仲間相談活動」といったものです。生徒と年齢の近い、ちょっと年上の先輩がアドバイスするといった感じです。年の離れた教員に上からものを言われるより、年齢の近い姉・兄のような大学生と話す方が、生徒にしてみれば話もしやすく相談もしやすいだろうというねらいがあります。
事前協議の中で、今回のピアカウンセリングを「性について正しく学んだ若者が、悩める高校生や仲間達に、正しい情報を提供し、性や生に関する考えや性行動の選択を一緒に考えながら、自分で自己決定できるようサポートする活動」と位置づけ、「性に関する正しい知識の啓発に努める」と確認していました。
どのような内容だったかというと・・・
まず、男女別に大きく二つのグループに分けて別々に座らせます。一人ひとりニックネームで呼び合うために名札をつけます。次にアイスブレーキングもかねて、パワーポイントを使って、心理学で使われる絵を見せ、「何に見えるか人それぞれいろんな考え方がある」ことを確認します。
そしていよいよ本題。ある高校生カップルのケースを提示します。この高校生カップルのケースは、彼氏がほしいと思っていた女子高生と、恋人と別れたばかりで新しい恋人を求めている男子高生が、まわりの友達から進められるままに何となくつきあい始めて、支配・被支配のデートDVの関係になっていく様子を描いていました。
つきあい始めてから、彼氏と一緒にいるときにもケータイで他の人とメールのやりとりをしている女子高生。その行為をいぶかり、そのケータイをとりあげアドレスを消して、女子高生に対して怒鳴る男子高生。つきあい始めて一ヶ月がたち、部屋で二人きりになり、セックスを迫ってきた男子高生。さて、この後どうなる? この二人はどうしてこんな関係になってしまったの?
・・・と、ここで生徒に疑問を投げかけ、男女別数人一組のグループで協議に入ります。
生徒から出された意見としては、「男の前で他の人とメールのやりとりをするのが悪い」「部屋についていった女子にも落ち度がある」「まわりに振り回されないで自分の考えをもつべき」「嫌なことは嫌ときちんと伝える必要がある」「妊娠するかもしれない」などなど・・・
これらを短冊状の紙に書き、分類して前に張り出し、解説します。
分類する項目は予め大学生が用意していたようでした。「大切ないのち」「自分の気持ちを伝えよう」「相手の気持ちを考える」「将来のことを考える」といった数項目に分類されていました。
「大切ないのち」では、みんなの命には、お父さんとお母さん、お父さんとお母さんそれぞれのお父さんとお母さん・・・というふうに、何百人もの人の命のつながりがあってみんなが生まれたということやみんなもいずれお父さんとお母さんになっていくことが話されました。また、妊娠中のおなかの中の赤ちゃんと同じ大きさ同じ重さの模型を実際に抱かせて、いのちの大切さを訴え、その他の項目もそれぞれ説明していきました。
ここで、スクール・フェミ・アンテナがビビビッ!
この分類では、「自分の身体(もっと言うなら、妊娠のリスクを負う女性の身体)を大切にする」という視点がない。今回の話の流れで行くと、中絶は選択肢としてありえないものとなっていました。「大切ないのち」・・・妊娠すれば赤ちゃんはおなかの中にこんな状態で入っている、そのいのちを大切にしよう。という展開では、望まない妊娠でも産むことを求められてしまいます。
また、「みんないつかはお父さんとお母さんになる」という前提でしたので、産みたくても産めない人や、同性愛者や性同一性障害などの視点も、残念ながらありませんでした。
ピアカウンセリング終了後、今後の要望として上記の観点をぜひ取り入れて欲しいと申し入れました。教育委員会の指導で「正しい性知識」が進められていないことを祈るばかりです。