ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

banner_2212biird

Loading...

秋風を感じるようになりました。空が高くなって、夏がゆっくり遠ざかっていくこの頃、大好きな季節です。この夏はのんびり、ゆっくり……のはずが、舞い込んだ仕事をつい引き受けているうちに、あわただしい日常が続いていました。でも、このくらいならやれる、いける、と思っていたことが、腰や膝に痛みが出てくるし、ホントもういやになる。カラダや体力の減退を感じざるをえません。
気になっていた近所のジムで体験レッスンしてみると、片膝スクワットが両方とも0回! というなさけなさ(私の年齢だと10回くらいが平均だとか! ええ~)。つまり、「膝筋力」ゼロだって。
ヨガやウォーキングの有酸素運動だけじゃだめみたい。そっか、やるしかないのか。ということで、まず1年を目標に苦手な筋トレを始めることにしました。

フェミカンルームでは、自分の人生に向けて動き出した女性たちとの出会いがいくつもあります。この夏も、いくつもの季節を越えて、日々格闘している彼女たちに向き合っています。

Aさんは十数回の調停が不調になって裁判にもつれこんだモラハラケース。
Bさんは何年越しかの面接相談を経たのち、ある日「もう無理」と助けを求めて、子連れで母子支援施設に保護されたDVモラハラケース。
Cさんは長年暴力をふるわれながらも、夫婦生活は「そんなものだから」と耐えてきたけれど、ある日、ついに警察に通報して追われるように家を出たDV虐待ケース。
それにしてもいつも思うことは、DV男って、なんでこんなにも似ているのだろうということ。

Aさんの調停はかなりの回数を重ねて長引いた。
なんでか? 夫のきまぐれで身勝手な、いやがらせまがいの言い分が延々と繰り返されたから。調停のたびに同じことの応酬で、かみあわないから疲弊する。そこを狙っているのかもしれないね。これ以上のやりとりは不毛と、不調にするしかなかった。
別れることには合意しているのに、夫側は妻の言い分がおもしろくないのでしょうか。要求はのみたくないってことのようです。負けたくないってことでしょうか。
相手の話を聞く気がないから、何を言っても通用しないのです。
自分の言い分ありきで、譲ったり折れたりする気は全くないのがモラハラの特徴ですね。

ただ、その間の長い時間は不毛なことばかりではありません。

Aさんにとって、自分の結婚生活って何だったのか、自分に何が起きていたのか、何を犠牲にしていたのか、何のためにそうしていたのか、カウンセリングでは自分を語りながら自己洞察を繰り返して、自らを客観視する自浄作用の効果が目に見えてきました。

DVの渦中にいると、被害者はなんとか生き延びるために感情を押し殺すしかないのです。自分の感情を消さないとつらくて耐えられないからです。

夫婦生活では暴力やDVを「夫婦げんか」にされて、あげくに仲直りの名目でセックスを強要されるのはよくあること。被害者はそれを拒めるはずもなく、性欲のはけ口にされ、なかったことにされてしまう。それはもっとも屈辱的な終わり方といえます。行為の間、乖離して自分を消して耐えるしかないとしたら、レイプ被害と同じです。

そんな生活を長年続けていると、呪縛から解かれるには時間が必要です。
夫から離れてみたら、物理的な距離が心理的な距離となって、Aさんの健康と健全な心理状態を徐々に取り戻していきました。そして、強迫的に内面化していたジェンダー感や世間の目や自罰感情が少しずつ解かれていきました。夫の洗脳がほどけていく過程です。

専業主婦だったAさんが、雇用され仕事についたこと、社会が自分を認めてくれること、自分の報酬で生活ができるようになること、人と信頼関係をもつことなど、徐々に自尊感情を取り戻せる要素が増えていきました。

外に出てみて、自分には生きる力があると実感できるようになった。社会も結婚も、家族や家庭も多様であると、目が覚めていったのです。

あなたは自分で生きる力があるのに、自信もなく不安だったよね。
自分の力があるのに、夫婦や家庭という世間の枠としがらみの中に封じ込められていただけ。はみ出さないように自分でもコントロールしていたからね。でもそれはあなたのせいじゃない。女性にその役割を押しつけ求めている社会の構造的な問題なの。そしてあなたの夫もそれをよしとしていた。あなたには何をしてもいいと思っていた。

今、あなたは自分の世界をもとうとしている。誰かのためじゃなく、自分が生きたいように生きる。それって、当たり前のことじゃないかな。

結婚という制度のせいであきらめたことがあったはず。夫の支配下にいたからもの言わぬようになっていたはず。そこから出るとなると、失うものがあるのは怖いよね。でも、結婚制度から脱落することを恐れていたけれど、それは逆だと気づいたんじゃない?

恐れているときは、さきのことはただ不安だし、見えなかったから。
あなたは今、得るもののほうが、どれだけ多いかを実感しているよね。
今手にしている、自由で安心した環境はあなたが勝ち取った世界。
離婚で勝負するわけじゃないけど、夫の元を離れる決意をした時点で、彼のコントロールを脱ぎ捨てたんだから、まあ勝ったといってもいいんじゃないかしら。

DV夫たちは相手を失って初めて、自分にどれほど必要な存在だったのかがわかるのではないだろうか。彼らにとって都合がいいだけの存在としてではあるけれど。
だからこそ、主導権を握っているのは自分しかなく、その自分に歯向かうことへの怒り、自分を拒絶したことへの憤り、さらにどれほど妻のために家族のために働いてきたと思ってるんだ、という歪んだ被害者意識、自負心が踏みにじられた屈辱感ですさんでいくのではないだろうか。
「お前の思い通りになると思うなよ」という憤怒が激しいほど、妻の要求を拒絶する報復傾向は強くみられる。妻の要求はことごとく却下し、新しい生活を妨害しようと画策したり、邪魔をする。子どもを虐待していたにもかかわらず、親権を争ったり、面会交流要求を突きつけたりと、執拗にあの手この手でくるから本当にたまりません。

Aさんだけでなく、Bさん、Cさんのようなケースは後を絶ちません。
もういい加減にしてほしい。誰だってそんな気持ちになるよね、わかるよ。でも、あきらめないでほしい。毅然とした態度を保ち、自分を守る道を探してほしい。
こういう相手と渡り合って、何ができるか、盾となり力になってくれる専門家とつながる道もあるから。
信頼できる弁護士を見つけ、代理人になってもらう。代理人を立てると、直接やりとりをしないですむ。それだけでもストレスが大きく減って生活も楽になるのです。そしてDVや暴力をふるった相手の不都合な真実を表沙汰に暴き出していく。
そうは言ってもなかには危険な輩もいるから、危機管理を怠ってはなりません。
ただ、弁護士が出てきたり、自分のDVや虐待が表面化して会社や世間に知られると、途端に委縮したりみすぼらしく退散するDV夫もいたりするからね。ほんとは弱っちい人間だってこと、多いのですよ。

自分のために、自分がどうしたいかを自分で決める、その毅然とした自立心をまず取り戻すと揺れなくなる。フェミニストカウンセリングはそこを一緒によりそっている。
あなたの人生だものね。

※(お断り)Aさん、Bさん、Cさんのエピソードは、出来事をアレンジして紹介しています。

****************************************

さて、先日「生理キャラバン&トークワークショップ」にチャレンジしました。
「生理の話」はおもしろい♪ 『こんにちは!生理』がすごくいい! おススメです♪
生理キャラバンのこと、今度コラムに書きますね。

Loading...
具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んでいる。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

RANKING人気コラム

  • OLIVE
  • LOVE PIECE CLUB WOMENʼS SEX TOY STORE
  • femistation
  • bababoshi

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOPへ