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学校の「安全確保」って、改めて対応が必要なの?!

深井恵2005.03.10

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3月も中旬となり、授業で上着を脱ぐと教室に忘れてきてしまうほど、暖かくなってきました。花粉症にとってはしんどい春の一面もありますが、寒さで強ばっていた体も少しずつゆったりとしてきました。卒業式・高校入試も終わり、新しい学年の準備が始まっています。


さて今回は、最近、急激に注目が集まっている「学校の安全確保」についてです。
2月14日に大阪寝屋川市の小学校で起きた教職員殺傷事件は、本当に痛ましい事件でした。被害に遭われた方のご冥福をお祈り申し上げます。学校関係者の一人として他人事とは思えない心痛でいっぱいです。このような事件が二度と起きないことを心より願っています。

しかし、今回の事件を元にした、「学校の安全対策」を巡る報道に関しては、いささか疑問を感じています。必要以上に、学校に対する、一般市民の不安を駆り立てていると思えてならないのです。

本当に「学校を襲う事件」は増えているのでしょうか。文部科学省によると、04年中に全国の小学校に侵入し、子どもの生命・身体に影響を及ぼすような事件は19件(前年の03年では22件)だったそうです。(・・・減っていますね)。事件発生件数と報道件数は、関係ないようです。もっと言うなら、学校で起きた事件以上に、学校外での事件発生件数のほうが多いのではないかと言うことです。

3年ほど前に「少年法」を「改正」することになったとき、マスコミは連日「また、10代の犯罪です」と、いかにも10代の少年犯罪が急増しているかのような報道を展開しました。しかし、統計では少年犯罪のピークは1960年代だったことはみなさんご存じでしょう。・・・最近は10代の事件なんて報道されませんよね。10代の犯罪は全くなくなったのでしょうか?

ニュースで報道される事件が世の中で起きている事件の全てなのか。報道されていない重要な事件はないのか。大きく取り上げられている事件に隠れて、何か重要な出来事が大衆の目をすり抜けて進められていないか。私たち一人ひとりの情報リテラシーと、マスコミの報道姿勢が問われます。

また、幼い子ども一人では登下校が危ないからと、「送り迎え」や「監視」を要求される保護者・地域住民。送り迎え等をすることになるのは、女性が多いだろうと想像されます。女性を家庭に縛り付けることにもつながるかもしれません。
お金についても気になります。警備システムを設置したり、警備員を雇ったりして、公共設備投資の一環・・・多額の税金の投入?!・・現に大阪府は7億円ほど予算を組んだようですね。警備会社は大きなビジネスチャンスってことになるでしょうか(・・・株価も上がるのかな?)。財政の厳しい自治体が増え、教育予算を確保するのも難しい状況にありますが、警備に予算を回すとなると、どこか別のところを削るしかなくなるでしょう。

また、学校と警察との連携も強くしていくことになるでしょう。卒業生の個人情報を、学校側が警察に提供する日もおとずれるかもしれません。加えて、少年警察ボランティアや駐車違反取り締まりの民間委託等、警察のように「取り締まる」ことが日常当たり前のことのように、私たちの生活の中に入り込もうとしている点についても気になります。
以上、とりとめもなく書き連ねてしまいましたが、「学校の安全確保」、ちょっと距離を置いて冷静になって眺めてみてはいかがでしょうか。

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深井恵

深井恵(ふかい・めぐみ)

九州某県の高校日本語教員。
日教組の「教え子を再び戦場に送らない」に賛同して組合加入。北原みのりさんとは、10年以上前(ジェンダー・フリー・バッシングがひどかった頃)に組合女性部の学習会講師をお願いして以来の仲。

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