いや~、台風には参りました。九州四国各県を中心に、かなりの被害がでたようですね。私もその一人で、自宅の倉庫が多少ダメージを受けてしまいました。たいした被害ではありませんでしたが・・。それにしても、やはり自然の力は偉大です。人間じゃあ、太刀打ちできません。もう大きな台風は来ないといいなぁ・・。しかし、台風一過、一気に秋の気配。めっきり涼しくなりました。これからはみのりの秋ですねぇ・・。
さてさて、今回は、教育の基本に関わるお話をしたいと思います。教育の基本の「き」、教育基本法についてです。教育基本法って、一般の方には、あまりなじみのない法律なのかもしれません。私が初めて教育基本法をじっくり読んだのは、教員採用試験の勉強を始めた大学4年生のときでした。教育基本法の条文を読むのは、教職に関係のある人くらいでしょうか・・。
その教育基本法が施行されてから50年以上がたちます。与党は「時代に合わなくなったんじゃないか」と、憲法を「改正」しようとする論理と同様の論理で、この教育基本法を「改正」しようとする動きがあります。「愛国心」を盛り込もうとしていることは、新聞紙上でも比較的大きく取り上げられたため、ご存じの方も多いかもしれません。
「愛国心」以外にも「改正」しようとしている箇所はたくさんあります。その条文全てをここで述べるわけにはいきませんが、スクール・フェミに直接関わる条文としては、第五条があてはまります。まずは、その本文を読んでみましょう。
第五条(男女共学)男女は、互いに敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない。
この条文を削除しようとしています。中央教育審議会答申で、「現在では、男女共学の趣旨が広く浸透するとともに、性別による制度的な教育機会の差異もなくなっており、『男女の共学は認められなければならない』旨の規定は削除することが適当である」としているのです。
少し話がそれますが、教育の規制緩和によって設立された、株式会社(JR東海、中部電力、トヨタ)による学校は、なぜか男子校です。また、関東以北には、公立の女子校、男子校がいくつも残っているようです。社会においてまだまだ男女平等が実現できていない今日、果たしてこの条文をわざわざ削除する必要があるのか、疑問が残ります。
ジェンダー・フリー・バッシングがいまだに止まず、男女混合名簿を再び男女別名簿に改悪してしまう愚挙まで起きている昨今、教育基本法の男女共学の条文を削除しようとする動きは、看過できません。
また、第十条(教育行政)も、180度方向転換されようとしています。現行の第十条を読んでみましょう。
第十条(教育行政)教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
与党の中間報告では、「教育行政は、不当な支配に服することなく、国・地方公共団体の相互の役割分担と連携協力の下に行われること」と、なっています。
一見、たいした違いはないように見えますが、注意して読み比べてみると、主語が微妙に変化していることに気づきます。現行の「教育は、不当な支配に服することなく・・」が、「教育行政は、不当な支配に服することなく・・」となっています。現行では、「不当な支配」をする勢力の中に、「教育行政」も含まれますが、与党の中間報告では、「教育行政」が支配する勢力の中から除外されています。
教育行政の教育内容への介入を排除してきた現行の教育基本法を、教育行政が教育内容へ介入できるように改悪しようとしているのです。教育内容に行政が口を挟むようになれば、まさに戦前のような教育が到来することが危惧されます。教育基本法を改悪させてはならないと、教職員を中心とした集会・アピールが、全国各地で行われています。みなさんも、現行の教育基本法のよさと、改悪しようとしている内容を確認し、ぜひ集会に参加してみてください。