ファッションから読み解くフェミニズム Vol.1 ファッションから“社会を読み解く力”を学んだ話

ラブピースクラブ読者の皆さま、初めまして大杉真心（おおすぎ・まみ）と申します。本日からラブピースクラブでコラムを書かせていただくことになりました。

私は、ファッションとフェムテックを軸に執筆や編集、企画などに携わっているリポーターです。2021年7月までファッション＆ビューティ業界のニュースメディア「WWDJAPAN」で約9年間、編集記者として活動し、2021年8月にフリーランスとして独立いたしました。
これまでは、国内外のファッションショーや展示会に赴き、ファッションブランドやデザイナーを取材して、トレンド分析をするようなことを生業にしてきました。その中で、ファッションは「かわいい」「かっこいい」というデザイン性や、 “売れるかどうか”というビジネス視点が大事であるということを学びながらも、ファッションと社会は密接で、まさに時代の写し鏡であるということを、身をもって感じることが多くありました。

例えば、LGBTQ+やフェミニズムをはじめとするジェンダーに関することから、人種の多様性やボディポジティブの流れによるルッキズムのトピックなど。この約10年間で起こったファッション業界や世の中の変化を目の当たりにしたことが、私のキャリアに大きく影響しています。
特に2018年あたりからは、ファッションの世界でも「#metoo」の影響を受けた人事が業界に衝撃を与えたり、女性エンパワメントを打ち出すクリエーションが登場するようになったりと、第4波フェミニズムのムーブメントを知るきっかけになりました。そうして、「WWDJAPAN」では2019年に「フェミニスト特集」、2020年「フェムテック特集」などを企画。それから同媒体でフェムテック分野を開拓し、さまざまなブランドや起業家を取材してきました。

これまでは報道媒体の記者として、取材した内容を元に情報を発信しきたので、自分の意見や体験を綴るような経験はほとんどなく、今回ラブピースクラブさんからお声がけいただいたときには、自分に役目がつとまるのか正直不安もありました。加えて、私はジェンダーやフェミニズムを専攻して学んだ経験はなく、分野の専門家ではありません。ただ記者として日々世界のニュースを見たり、起業家やクリエイターたちの声を聞いたりする中で、今起こっている事象を分析することができると考えています。また日々ファッション業界や社会からたくさんの情報を得ている自分だからこそ発信でき、皆様と共有できることもあるのでは、とコラムを書かせていただくことになりました。

2021年、年末の風物詩「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に「ジェンダー平等」が入り、ノミネートされた言葉にはフェムテックもありました。「ジェンダー平等」はネガティブな出来事から注目を集めた言葉ではありましたが、流行語に選ばれるのは大きな進歩。ただ2021年の各国におけるジェンダー格差を測るジェンダーギャップ指数で日本は156カ国中120位で、同性婚や選択的夫婦別氏制度が実現していないこの国の「ジェンダー平等」はまだまだこれからです。ファッション業界でも「ジェンダー平等」は大きく取り上げられたトピックでした。そういった内容は今後のコラムにて一つ一つ、綴っていけたらと思っています。

ここでは、生活に身近な事象を見ながら、時代の潮流を読むということを、硬くなりすぎないようにやっていきたいと考えています。真面目な切り口もありつつも、ファッションなどのエンタメ性もあったり、ブログのようなゆるさもあったりと、いろんな方に読んでいただけるようなコラムを目指していきますので、これからお付き合いいただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。