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ラジオでCOVID-19 水曜夕刊便 VOL.1  新型コロナウィルスと男社会 オンライン勉強会のご案内

北原みのり2020.08.06

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「コロナにある意味打ち勝てるんじゃないか」
と勢いよく大阪府民の前に出された数々のうがい薬。うがい薬。うがい薬。うがい薬!!!

吉村知事の堂々とした「ある意味」の使い方が分かりませんが、やはりこちらとしてはパニックになるというものです。これは”ある意味”、原発事故が起きたときにヘリコプターで上から放水を試みて、水がパラパラと全て風で流されていった時の無力感と絶望感、だけど不思議に何故か笑っている自分を俯瞰する奇妙な感情に似ているのかもしれません。

吉村知事だけじゃない。吉村知事の横でふんぞりかえって(文字通り、椅子にきちんと座らず、だらしなく腹だしてふんぞりかえってます)「皆さんが買い占めなければ在庫がなくなることはない」(←ばかすぎて凄い!)とどや顔で説明している松井市長は、ちょっと見物です。これは人口100人くらいの村の夏祭りの準備してるオッサンたちの井戸端会議でしょうか。

人類が経験したことない規模で広がっているパンデミックに対し、丁寧な臨床試験をしたわけでもない結果のイソジンをずらり並べて説明する維新の男性方のどや顔が、私の一度しかない人生に焼きついてしまったことが辛いです。翌日にうがい薬の明治ホールディングスの株があがったと聞き、目的はこれなんじゃないかとうがった見方をしてしまいますが、やはり私たちは今「政治は私たちを守ってくれない・・・」と諦めるしかないのでしょうか。

最近、本当に驚いたことの一つは、過去に医大で感染症を研究していた友人が
「大学にはPCR検査機器がごろごろあるのに。PCR検査できる技師もいるのに。だいたい日本は(今はどうか知らないけど)COVID19以前は、世界で二番目にPCR検査機器を持っている国なのに」
と教えてくれたこと。ちなみにコスト数百円くらいの検査らしいです。
“PCR検査はなるべくしない、なぜならPCR検査をすると医療が崩壊するから”と長い間そう言われ検査ができず、今は“PCR検査をなるべくしない、なぜなら偽陰性やら偽陽性やらとまぁいろいろあってPCR検査は万能じゃないから”とか言われていて、PCR検査しても意味ない、とか言い出す人もけっこう増えている状態で、さらにPCR検査は2万円かかるとか言われていて、なんだよ検査してと願うのは贅沢なことなのかよ、微熱くらいで不安になった庶民が使うにはもったいない先進技術と物凄い専門性の高い検査なのかよ・・・と辛い気分でいた私はそれを聞いて多分、今年一番大きな声を出したと思います。ほんとかよっ!!!!!

ではいったいなぜPCR検査できないんでしょう?
と素朴な疑問が沸きますが、安倍にやる気がない、というのが一番の原因だとしても、大きな要因として大学は文科省の管轄、コロナ対策は厚生労働省の管轄・・・という男社会組織の縦割り、シマ争いが弊害になっているのではないか・・・という。

COVID19の対応で、様々な国の対応が同時に比較できる中、見事にマッチョなリーダーの国が失敗しているのが分かります。
科学の知識を持つドイツのメルケル首相や、ITに詳しいIT大臣がいる(のが普通の国だと思いますが)台湾の対応や、とにかくMERSの過ちを繰り返さないと検査を徹底させた韓国、国民に「あなたに寄り添う」というメッセージを強く優しく出し続けたニュージーランドなど命を優先させることが経済回復を導き成功している国々。一方でブラジルとか、アメリカとか、フィリピンとか、ロシアとか・・・・・・。経済優先を叫び、コロナなんてただの風邪だと小さく見積り、経済回すためには自国の民がある程度死んでも仕方ないというマッチョなリーダーが独裁を振るう国の悲惨は何を意味しているのでしょう。
もちろん日本には、トランプのような”リーダー”がいるわけじゃない。小さなマスクを意固地になってつけている愚かなリーダーがいるだけで、しかも今は雲隠れ状態。他のマッチョ国のように誰か一人強烈なリーダーが“こんな”政策を導いているというよりは、男社会が息を吐くようにこれまでの行動様式に則って動いたら自然に「そっち系」に行くしかなかった・・・という感じなのではないでしょうか。誰も責任を取らず、合理的な考えよりも組織の論理が優先され、隠蔽体質でかばい合いながら縦割りで縄張り争いに時間を割き、尊厳や命にかかわることからも利益を生もうとするあさましさで、この危機を機にのしあがってやろうという勇ましさが評価されるような社会。息を吐くように、私たちの命は置き去りにされるのが、差別社会。

新型コロナウィルスと日本の男社会。
今年1月に最初の感染者が日本で出たあの日から、ゆっくり遡って考えてみたいという思いになっています。
感染症専門家の話を聞き、医療の現場の話を聞き、現実を知り、自分にできることしなければいけないことを考えたい。なにより日毎に変化していく状況に追いついていくためにも、フェミ的にコロナを考えるような(それは人間の尊厳を基準にパンデミックを考えるという視点だ)時間が私には必要なのだと思う。イソジンパニックを機に定期的に、専門家を招いたオンラインCOVID19勉強会を強力なお二人の専門家の対話を通して、一緒に学んでいきましょう。

登壇していただくのは私に「大学にはPCR検査機器いっぱいある」と教えてくれた、ラブピの連載でもお馴染みのオガワフミさん。そして銀座のペインクリニックで日々患者と接し医療の現場に立ち続ける日本女医会理事の青木正美先生です。
政治の後ろ盾があるわけじゃない、組織にも巻き込まれない個しか、この国ではもしかしたら自由に発言ができないのかもしれない。そんな風になっちゃっている現実を少しでも塗り替えていくために。

オンライン勉強会「新型コロナウィルスと日本の男社会」



第1回 8月19日(水曜日)20:00~
以降隔週水曜日20時〜(イソジンパニックのような緊急性が高いときはその都度行います)
無料・登録不要 YouTubeで私たちの防備録、学びの場として残していきたいと思います。

<出演者>
青木正美 青木クリニック院長と公益社団法人日本女医会理事
オガワフミ 福祉職員 日米の大学院で病理学と公衆衛生学を専攻(フミさんの連載はコチラです!)
司会 北原みのり

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北原みのり

北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めてフェミニストが経営する女性向けのプレジャートイショップ「ラブピースクラブ」を始める。2021年シスターフッド出版社アジュマブックス設立。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)・佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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