よく話してくれる韓国のお姉さん Vol.3 「性差別が露呈する日本のコロナ対策」
2020.04.09
とうとう東京や大阪など、7都府県に緊急事態宣言が出されましたね。遅すぎるし、「外出するな」「仕事に行くな」「店を開けるな」と言いながら、補償はしないっていうのは一体どういう了見なんだろうか? 日本にいる友達とのグループラインも日本政府の動きとともに、「日本の政治家、終わってる」「ふざけんな!」という怒りともどかしさをぶつけ合う場になっています。
今朝も目が覚めたらこんなニュースが送られていました。
「航空会社の客室乗務員が防護服の縫製支援 新型コロナ対策」
経済再生担当大臣をしている西村氏がBSのテレビ番組に出演して、休業中の客室乗務員(CA)に防護服の縫製を支援してもらうプランを考えていると語ったそうです。
コロナの影響で仕事が減っている人は大勢いるだろうに、なぜCAなわけ??
戦争中の千人針を思い浮かべてしまいそうな発想の根っこに、CAは女性が多いこと。女なら縫い物が得意だろう?という性差別にまみれた考えがあることが容易に想像できる。
防護服って現場の人の命を守るためのものなのに、これまで縫製の仕事をやったことがない人が携わっていいとはまったく思えないんですけど。せめてアパレルとかもっと近い業界があるでしょう。
西村氏は「作業が比較的簡易な上、新型コロナの影響でCAの業務が減っているため」と説明したそうですが、「比較的、簡易」って・・・。縫い物=簡易=女にやらせよう!という発想が、終わってる。
こんな発言が周囲の誰にもとめられることなく、テレビ番組でなされてしまう状況が本当に深刻だと思います。進言する人は誰もいなかったのだろうか。
こういう人たちの考える「女性が活躍する社会」がいかに恐ろしいものか、想像して震えています。
さて韓国では2月下旬のピーク以降、コロナの1日当たりの新規感染者(韓国では検査で陽性になった人という意味で、「確診者」という言葉を使う)数は減り続けていて、2月29日のピーク時には909人でしたが、4月8日にはとうとう40人を切りました。
感染者が出ると、どこで感染者が確認されたのか、スマホに区役所や市庁から緊急速報が流れる仕組みになっていて、スーパーやカフェで速報が来ると、フロア中の人のスマホが一斉にビービー鳴るので、そのたびにビクッとしていたのですが、今ではあまり流れてこなくなりました。新学期も4月9日からスタートする予定で、私の通う大学の語学堂でもオンライン授業ではありますが、新学期が始まりました。
なぜ韓国がコロナの封じ込めにうまくいっているのか。多くのメディアが指摘しているのは、やっぱり徹底的な検査と隔離です。そして、スピード感が全然違う!
韓国では最初の感染者が出た1月下旬から図書館などの公共施設を閉鎖し、3月22日からはジムや室内の遊興施設に休業するよう求めています。一方で、今も日本のように百貨店や飲食店が閉まるという事態にはなっていません。
私が行って見た限り、百貨店などはかなり人の数は減っていますが。カフェや飲食店はイスやテーブルの数を減らして、お客さんとお客さんの社会的距離が保てるような工夫をして営業を続けています。
印象としては、日本ではこの数カ月何もしないまま、経済活動にかなり大きな制限を加える緊急事態宣言にいたったけれど、韓国は感染者の状況を見ながら少しずつ制限を厳しくしていくことで、なんとか最悪の事態を避けられている感じがします。
検査についても、すでに日本でも報道されている通り、ドライブスルー検査、ウォークスルー検査といった手法で、これまで40万件を超える検査を実施し、軽症者も医療施設に隔離。最近では、海外から入国した外国人を対象に、所在確認できるアプリを搭載した携帯を持たせ、入国後2週間の自宅待機義務を破った人は国外退去処分にするなど、かなり強硬に水際対策を進めている感じ。
日本が海外からの入国者に対し、自宅やホテルでの2週間待機を求める一方で、公共交通機関は使わず「移動は自力でね」とほぼ野放しにしているのとは対照的です。そしてすでに韓国政府はコロナで失業者が増えているとして、失業者支援や企業の雇用維持にむけて対策を検討を始めていると発表しています。
日本が4月に入ってからも、「マスク2枚配布」なんていう正気とは思えない対策や性差別丸出しの珍案で騒ぎになっていることを考えると、まともなリーダーがいる国っていいなぁ、とうらやましくなります。
来週15日には国会議員選挙が投開票されます。街には選挙ポスターが貼られていて、マスクをしながら投票を訴える人たちの姿が目立ちます。2018年のソウル市長選でフェミニスト選挙を掲げて立候補し、一躍有名になったシン・ジエさんも名乗りをあげています。なんかポスターもすごくかっこいいんですよね。
この状況で韓国の人たちがどのような選択をするのか。選挙権を持つ韓国人の友人と投票所に行ってみるつもりなので、来週報告させてください。