YURIさんのフェミカンルーム65 「行動にも感情にも意味があると気づいた韓国旅行」
2020.03.01
1月早々、旅先の韓国釜山で転倒して手首を骨折するへまをやらかしてしまいました。
今回は海外でのまさかの事故、治療体験の顛末と食レポを少し紹介しながら、思うところを書いてみたい。
楽しみにして出かけたプサン(^^♪
美味しいものをたっぷり食べて、のんびりゆっくりのはずだった。
近いとはいえ海外で、まさか救急外来に駆け込むなんて、思いもしない(ですよね)。最近は旅行保険もクレジットカードがあるからと、ほぼ加入なしでの渡航。こんなことになってしまったけど、カードの保障でほぼ対応してもらえるとわかりホッとしている。
真新しいホテルラマダアンコールはプサン駅の真横、シティツアーバス発着場のまん前。バス、地下鉄でどこへ行くにも便利だった。窓からは駅の広場が広がるロケーションで気分がいい。コスパよくおススメのホテル。
到着初日。まずは、大晦日のテレビ番組「孤独のグルメ」(皆さん、ご存知かしら?)で五郎さんがおいしそ~に食べてた「ナッコプセ(タコ・ホルモン・エビ入りピリ辛鍋)」を目指す。
プサン行きを決めていたのでドンピシャ、番組放送中からお店を検索。「五六島ナッチ」はすぐに見つかった。期待でワクワクのナッコプセは、辛みと甘みがまったり絡みあって絶品。汗タラッタラで完食、プハ~ッ。一食目からよしよし、大満足の順調な出だし。
2日目。相方とは別行動で私はソウルへ日帰り旅。プサン⇔ソウルは高速鉄道KTXで2時間30分、片道5万9000ウォン(5500円くらい)。韓国の公共交通は安くて助かる。ICカードは日本よりずいぶん早く導入していたし、全国のバスや鉄道で共有だから、使いやすいことこの上ない。日帰りではさすがにミュージカルとかムリだったけど、忙しく歩き回って楽しんだ。
今回の収穫は明洞のサボイホテル地下にあるわかめスープ(ミヨク)専門店「ポドルミヨク」を見つけたこと。活きアワビと貝入りわかめスープは絶品で、これもおススメ。
プサン名物ではずせないのがずっしりと中身のあるオムッ(ねりもの)。韓国オデンのベーカリーとも言われている「釜山サムジンオムッ」でテイクアウトすれば、ホテルの部屋でビールとゆっくり味わえる。
さて3日目に問題が。おいしいカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)が食べたいと熱望する相方のリクエストで、ここならどうだ! という有名店「馬山ケナッチム海雲台本店」へ。
雨の中、探し当てた店の壁には国内外の女優や映画人の写真、サインがいくつもあった。プサン映画祭の有名人も来る店で、カンジャンケジャンはさすがの美味とお値段。注文間違いしてケナッチムが食べられなかったのがちょっと心残りかな。
贅沢なランチだけど、満足して気分よ~く店から出たとたん、アクシデントに見舞われた。
事故は「一瞬」を痛感する。今思えば、救急車呼んでもおかしくないほどのことだった。
滑って転んだのは瞬間だけど、思い返そうとするとスローモーションの自分の動画が見える気がして、なんだか変な感じ。
したたかに打ったお尻、左手、左肩がどうなったのか定かでないが、とにかくの激痛で身動きできなくなった。
転んだまま、寝転がってただ痛みに耐えていると、床がぬれていることに気がついた。そばに濡れたモップをもった店のアジュマ(従業員のおばさん)がどうしたものかと突っ立っている。相方もへたに動かせないと思ったのか、何もしようとしない。
もう~!! なんなの~!?(と、泣きたい気分)
痛みと一緒にいろんな感情がわいてくるけど、状況が読めない、収集がつかない。自分に何が起きたか判断しようとするけど、見極めがつかない。まずいことになった、やっちまったらしいことはわかる。
見てるだけ? 何とかしてよ! と思いながらドジな自分の格好にも腹立たしかった。
やっと起き上がってベンチで痛みが治まるのを待っていると、後から店を出てきたお客さんに、アジュマが「滑るから気をつけて」と声をかけていた。濡れた床のタイルを乾かそうと急いで拭いている。そんな光景をぼんやり見ながら、この人のせいじゃないとわかってるけど、せっかくの美味しいランチだったのに……、なんだか悲しかった。
まあいい。しようがない。やっちまったことはしかたない。
切り替えの早さが私のモットーじゃないか。痛みをこらえてタクシーで病院に急行した。
着いたのは、ホテルで教えてもらった釜山駅に近いセイル病院。病院もよかったなあ!
システムは日本とほぼ変わらない。受け付けはパスポートで。
整形外科のキム・ヌリ医師の診察、レントゲンとCTなど、必要な検査は待ち時間もあまりなくスムーズで安心。「手術が必要な状態だけど、日本に帰ってからで大丈夫」と診断書と検査データをCDにして渡してもらえた(清算した費用は4万円くらい。これもあとでクレジットカードの補償で戻ってくる)。
がっちりとギブスで処置された手はみるみる腫れあがっていたけれど、抗生物質と薬のおかげで痛みは和らいで、すっかり安心して、次の日には外に出かける元気を取り戻していた。
釜山と言えば、チャガルチ市場が有名だけど、ローカルな釜田市場のほうがいい。
カンジャンケジャンも、カニの種類は違って小さいけど、手ごろな値段のお店でたらふく食べ直した。
さすが、港都市のプサン。ソウルと違うローカルさが気に入った。また、ゆっくりリベンジしよう。
持ち帰った検査データのおかげで、帰国後の診察では無駄な検査の必要もなく、無事に入院、手術をすませた。
まだ両手のパソコン操作が、長い時間はつらいけど、リハビリも順調で回復している。
今回のことで心強かったのは、やはり相方の韓国語能力。私も日常会話なら半分くらい理解できるけど、この場合半分じゃすまないからね。ありがと。
海外で救急治療をうけるなんて、面白い経験やったな~と今は笑い話にしてるけど、とっさの私自身はすごく混乱してしまった。誰かを責めたくなったアホさも恥ずかしい。
何度考えても近場の韓国でよかったし、韓国語が堪能な相方と一緒でよかった。足じゃなく、右手(利き手)じゃなくてよかった、このくらいのケガですんでよかった……。
どんな物事もどのようにも受け取れる。それは自分しだい。行動にも感情にも意味があるとつくづく気づかされる経験だった。
手術も無事に終えて、久しぶりに友だちJ子に連絡してみてビックリ。
速攻返ってきたLINEには両手首骨折でギブス姿の写真! 「私も階段落ちて、両手骨折よ! なんてことでしょう」と。笑い話のネタにしようと思ってたのに、ひえ~~、負けた~! それにしても両手がダメなんて、ほんとになんてことでしょう!
お互いに泣き笑いしながらのケガ自慢で、幸いだったね~。
中高年に一番多いと言われる「橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)」。
手術は全身麻酔が必要で、プレートを埋め込みます。どうぞ他山の石として、どなたさまもお気をつけて。