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久しぶりのコラム、ご無沙汰しておりました。
私事目まぐるしく、追われまくりの日々が一段落。やっと出かける気分も復活~。
豊田市の「川見四季桜」は、1年に二度開花する桜。見ごろはあと少しと聞いて出かけてきた。春のこぼれるような見事な桜とは違って、満開とはいえ、小ぶりの花びらはやや寂しい感じがする。でも、紅葉と桜が同時に見られる珍しい風景で、一度は見ておきたい。
新聞やテレビで紹介されたこともあり、県外ナンバーも続々と押し寄せて大渋滞。朝早くに出かけて正解! ふ、ふ、ふ、渋滞の車とすれ違いながら帰る気分のよさ~(^^♪
 
11月、ある音大で「女性のためのセルフディフェンス」講座&ワークショップ(以下、WS)をする機会があった。
前期に、音楽療法コースの学生に「フェミニストカウンセリング」の講義を担当したご縁で依頼をうけた。音楽療法という分野で、多様なカウンセリング理論と技法の中から「フェミニストカウンセリング」をプロジェクトテーマにして課題を完遂した学生が複数いたと担当教授から聞いていた。フェミニストカウンセリングと音楽療法が結びついて、独自の新しい世界を生み出してくれるなんて(^^♪ 若い世代の感性に期待しちゃう。

全学対象での公開講座を希望というので、まずその意図と目的を聞いてみた。学内でのハラスメント防止や暴力防止の啓発と周知、その対策として実施するとき、防止教育目的の場合もあるが、すでに問題事案が起きていたり、その対応が必要で行われる場合がある。
後者の意味合いが含まれるのなら、そこは「女性限定」実施のほうがいいのでは、と提案した。男性を排除するわけではないけれど、通常の授業で行っているものと、女性だけで、しかも自分の意志で参加する人たちで行うクローズドなWSでは内容と濃密度が全く異なってくる。大学もそのことを理解してくれて、「女性のためのセルフディフェンス」となった。

セルフディフェンスプログラムは、カウンセリングと同時期に取り組んで20年になる。
「女性のためのセルフディフェンス」のベースは、アメリカの自覚安全術「ラカス(RUCKUS)」(SELF DEFENSE & SAFETY AWARENESS for Asian Pacific Islander Women)。
90年代後半、ニューヨーク在住のインストラクター内川由子さんを何度か招いて学び、所属団体YWCAのオリジナルプログラムとして研究、改良していった。
ラカスは、女性のためのプログラム。「安全に生きることは権利」を前提に、自分を守ることを話し合い、実践的なスキルも身につける。私たちは誰にでも自分を守る知恵、からだの強さと心の強さがあると自覚する考えで成り立っている。「護身術」ではなく「安全術」という考え方にも共感した。
フェミカンの自己尊重・自己主張トレーニング、コンシャスネス・レイジング(以下CR=意識覚醒)などのグループワークと、フェミニズムを基盤とした理念がピッタリつながって、独自に取り組むのは自然の流れだった。

今回は、久しぶりのワークショップ。準備のため、資料やグッズ(防具)を引っ張り出した。
WSのため、床に座ることができてリラックスできる場所をリクエストしたら、リハーサル室でピッタリの場所。参加者は十数名。もともとCR的な話し合いが多いプログラムで、WSなら3時間はほしい。大学の一コマ90分の講義時間枠では十分なエクササイズは難しい。なので、今回は写真や資料をふんだんに盛り込んだスライドをプロジェクターで投影し、進行を効率化した。
ヨガマットを敷いて、みんなで車座になり、グループワークと話もできて、とてもいい空間、いい時間になった。

セルフディフェンスプログラムに限らず、授業や講座の資料を作っているときが一番しんどいけど、おもしろい。
最近は、エネルギー枯れしてるんだけど、たぶん、性に合ってるのか、スキなのか。プログラム準備ができたときの達成感がカイカン! 
このごろは、研修や講座がカウンセリングにすごく似ていると思うようになっている。大勢の人に話す時でも、面接での対話と同じように向き合うことがなじんできた。

さて、講座の中身は基本を守りながらバージョンアップして盛りだくさんに、新しい情報も増えてボリューム満載。以下、キーワード。
<STEP1>
今の私たちを取り巻く社会で女や子どもに何が起きているか、その暴力とは、セクハラ・ちかん・性暴力の現状とデータ、被害者心理の理解、背景にある社会の問題と暴力神話
<STEP2>
セルフディフェンスの心構え、自分を守るスキルとポイント、からだと心の自己決定権、暴力を認めない・許さない「権利意識」
<STEP3>今、私たちのまわりで動き始めていること
#MeToo#WithYou 声をあげ始めた人たち、フラワーデモと刑法改正、性教育と避妊知識、性的同意、痴漢バッチ・アプリ・レーダー情報etc.

事件や性被害の現状を知ってもらう必要がある。それを更新するネタには困らない。ゲンナリする事件が相も変わらず起きているから。
2019年11月中旬、資料作成したころの報道は
・林間学校で児童にわいせつ行為の男性教諭 懲戒免職 
・養女へのわいせつ、「常習的犯行の一環で悪質」被告に懲役2年6月求刑
・10代娘の下半身撮影、母と交際相手逮捕
・「スカート丈短い高校生多い」滋賀へ“盗撮遠征”の高校教諭処分
など、検索すれば、新聞、テレビの情報がゾロゾロ出てくる。

やはり、このテーマで自分から参加してきた学生たち、何らかの動機や期待があるもの。いつもそれを聞くことから始めている。お互いに参加動機を知り合うことで、共有できるものがある。お互いの違いを認め合うルールを共有して、安心感が生まれていく。
このテーマ、タイトルだから。参加者が自分のことを「実はね……」と言えるためにも、ここでなら大丈夫という場所を保証する。きっかけをつくって自己開示をしやすくする。
今回、時間の都合で実践的なワークはあまりできなかったが、お互いを受け入れあう温かい空気が流れていた。
そうだった! ラカスもセルフディフェンスも、私がしてきたことはずっと #MeToo#WithYou だった。
フェミカンがその土台であることも、今さらだけど、改めて気づき直す時間になった。

バージョンアップ情報は、若い世代の人たちの行動と発信のおかげ。
スマホのおかげで、情報アイテム、キーワードを伝えたら、あとは自分たちでアクセスして収集も拡散もしてくれる。「なんでないの?」「ムーンパンツ」もお知らせしておいた。

学生のコメントから
「もし襲われたら、と思うと身の毛がよだつし、いつも恐怖と隣り合わせで生活しなくてはならないなんて、精神的に一生傷を負うだろうと思う。それがもし元カレだったら、もう次につきあうことができなくなるし、結婚もできなくなってしまうかも。一生ダメにされるなんて考えると、本当にありえないことだ。加害者を減らすことは難しいのだろうか。被害者に落ち度はない。いつ、どこを歩くかなんて、そんなの自由で権利のはずなのに、どうして気をつけなくてはならないのか。警察はもっと動くべきなのではないか。(フラワーデモで)自分の傷を公にしてまで知ってもらおうとしている人たちがいるということを警察は把握して、活動してほしい。(岡崎事件の)親から子どもになんて、ありえないことが本当にあるんだと知った」
「あったことはなかってことにはできない、という言葉がすごく印象に残っています。今からでもできることがあると思います」

参加者に、音楽療法とリトミック専任教員がいて「音楽とリトミックで性暴力被害への支援ができないか」模索中、といううれしい声がけをもらった。いろんな専門の人たちが、それぞれの分野でその専門性を活かす支援を生み出し、広げ、つながっていってほしい。
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具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んでいる。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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