ラブピースクラブでここ数年、常にベストセラー上位の人気を誇るバイブレーターといえば、LELOブランドの「SORAYA」です。SORAYAの商品ページにはたくさんの熱心なレビューが書き込まれ、使った人が、ファンとして思わず語りたくなっしまうとっても魅力的なトーイです。
そんな人気トーイSORAYAを作っているのが、スウェーデンのブランドLELO。2003年に創立するやいなや、それまで根強かった「男性向け」というセックストーイのイメージを塗り替え、女性目線に立った高級感溢れるデザインと性能で、セックストーイをラグジュアリーなアイテムに押し上げ、女性ファンを広げたことで知られています。
LELOのトーイはただのセックストーイの枠に収まらず、女性がポジティブに、自信を持って前に進めるようなメッセージを発信し続け、今や世界50カ国の都市で販売される一大ブランドとなりました。ヨーロッパではドラッグストアから、「DOLCE & GABBANA」「DIESEL」などハイブランドショップの展開にまで及び、セックストーイを語る上では外せない老舗ブランドと言っても過言ではありません!
かつては私たちから遠い存在だったセックストーイを、ここまで身近に感じられるものにしたLELOとはどのようなブランドなのか?LELOのナショナルセールスマネージャー伊藤さんに伺いました!
ラブピ:女性目線のトーイブランド設立のきっかけを教えてください。
創立者のスウェーデン人男性3人は、もともと友人同士だったんです。そのうちの一人が彼女の誕生日プレゼントにセックストーイを贈ろうとしたのですが、当時は見た目がかわいくて女性に喜ばれそうなトーイがどこを探しても見つからない。そこで、エンジニア、プロダクトデザイナーだった友人達に相談して、「女性にプレゼントできるようなラグジュアリーなセックストーイを自分たちで作ってみよう!」ということに。これがLELOの出発点です。(写真はLELO本社)
ラブピ:「大切な彼女にもプレゼント出来るトーイ」というコンセプトが原点なんですね!その時に作られたトーイはどのようなものだったのですか?
LELO1号目のローターは、実際に商品化もされた
「LILY」です。昨年発売された「LILY2」の初代モデルですね。LILYはカップルにも使っていただけますし、女性が一人で使うことも、また、男性に当てていつもと違う反応を楽しんだりすることも出来ます。見た目がセックストーイという感じが全くせず、ポーチの中に入っていてもおかしくない、スマートなビジュアルのプロダクトです。
また、それまでのローターは、コードで繋がっているものが主流でしたが、LILYはコードレスで充電式。お風呂のなかでも使える防水製品なので、使える幅がグッと広がりました。振動の強さも4段階コントロールすることが出来て、オーガズムの直前に強くするなど使い分け出来ることも人気の理由でしたね。ちなみに、LILYは彼女にちゃんとプレゼントされたそうです!
ラブピ:誕生日プレゼントで「セックストーイ」という発想が自然に出てくるなんて、日本とスウェーデンのセックスの受け止め方はずいぶん違いそうですね。
スウェーデンは、最近ではドラッグストアでセックストーイが販売されていたり、女性が自分で買うことも当たり前に。もともとスウェーデンは、家族間でも性について真剣に話し合うことが教育の一環という認識がある国。
男女だけじゃなく、様々なジェンダーのカップルがきちんと自分の性やスタイルをオープンに話すので、「本当はこんなことされるのはイヤだけど受け入れる」というようなことも、あまりありません。だから、性差関係なくカップルが対等に付き合えるというのはよく聞きますね。また、女性もマスターベーションをすることが普通のこととして捉えられているので、女性がトーイを持っていても「…えっ!?」と引かれません。そこの違いは日本と大きいですね。
ラブピ:LELOはスウェーデン初のトーイブランドですが、デザイン大国と称されるスウェーデン独自のものづくりの哲学がLELOにも受け継がれているのでしょうか?
それはありますね。スウェーデンは寒い国で、冬になると日が昇らない時期もあるので、世界で一番家の中で過ごすことの長い国。それが、家のなかでいかに楽しく、幸せに過ごすかというスウェーデンの人たちのデザイン性に繋がっています。LELOも、家の中で、幸せにパートナーと過ごすための一つのツールとして捉えられています。
北欧のデザインは一般的にシンプルであたたかいイメージがありますが、LELOは黒×ゴールド×紫×ピンクを基調としたラグジュアリーなデザイン。一見すると「北欧らしい」デザインとは異なるようにも見えるかもしれませんが、“シンプルで機能的”という点は北欧らしい設計美がありますね。そこには、セックストーイは決して恥ずかしいものではない、持っていることが自信に繋がるようなサポートをしたい、という性にオープンなスウェーデンならではのメッセージが込められています。
ラブピ:現在、世界50カ国で展開しているLELO。商品の反応は国によって違いますか?
異なりますね。売れていてるものが国によって違って、その傾向をみるとおもしろいんです。例えば、日本では「SORAYA」が人気ですが、カルチャーも伝統も全く異なる遠く離れたイギリスでも人気ナンバーワンは同じくSORAYA。ところが日本と地理的にも文化的にも近い中国では、全く別の「Luna Beads」が売れているんです。アジア全域で似た傾向というのであれば、わかりやすいのですが、そうとも限らない。人の考え方とか男女間の関係性というものが、反映されているのではないかなぁと。
ラブピ:近年伸びているというアジアのマーケットにはどのような特徴があるのでしょうか?
アジアでは男性の購入率が圧倒的ですね。女性が使うトーイでも、男性が購入されます。これからは、アジアでも女性が自分のために買うようになってもらえたら、とは思いますが、まだまだハードルが高い。
それというのも、アジア圏の女性はLELOを知っていても、パートナーや家族に使っていることがバレてしまったらどうしよう・・・と心配する人が多い。反対にパートナーも、女性がトーイを使っていることが分かっただけでショックを受けてしまう。自分が満足させられていないんじゃないか、とか、勝手な被害妄想というか。セックスとマスターベーションは別物だし、ふたりで一緒に使えばいいだけのこと。男性は男性でマスターベーションをしているのに、女性がマスターベーションをすることに抵抗感を持つ人が多いことに、女性だってマスターベーションしていいじゃない!と思いますね(笑)。なので、アジアの女性は性的な部分でまだ自分を解放しにくいのかも。
それから、アジアの女性の多くが性的なこと、特にセックストーイを使うことが社会的にタブーとされて育っている。その一方で、日本の場合、男性がAVを観るのは当たり前とされていたり、コンビニでも男性向けポルノ雑誌は置いてあって。男性顧客にとってはフレンドリーでやさしい市場ではあるのですが、女性にはやさしくない。スウェーデンではマスターベーションが人間のひとつの当たり前の行為として教育されますが、日本ではそういう教育がないので、正しい知識を持たずに成長してしまっているのかもしれません。
とはいえ、日本でも女性がセックストーイを買える場所は増えてきて、女性の性に対する意識もオープンになりつつあることも感じています。このあいだ驚いたのが、「セックストーイを作る人たちの電子マンガを読んだんです」という話を聞いたんです。興味がなければそもそもそういうマンガを読まないでしょうし、そういうマンガが出回って、読まれるくらい興味を持っている人は多いんだなと感じました。
ですので、女性の意識も変わってきてるなというのは日本はすごく感じます。ただ、実は、アジアでいうと、中国の方はもっと女性の性に対する意識が進んでるんです。
ラブピ:中国はジェンダー・ギャップ指数世界ランキングも日本より上ですもんね。賃金の男女格差や女性の管理職の割合などで見ても、日本よりも女性の立場が高いし、そのようなことも影響あるのかもしれませんね。
そうなんですよ!中国は思っていたよりももう少し先をいってるというか、欧米に近い感覚を持っているカップルが多い。セックスの回数も日本よりも多いですし、女性のお客様も、日本より比率が高いです。ネット社会なので、ネット注文もとても多いのも特徴ですね。
一方韓国は、セックスの回数も低いですし、「女性は受け身でなきゃいけない」という風潮が社会的にも根強い。女性自身もそこに捉われていたり。韓国の状況は日本に近いところがありますね。
ラブピ:LELOはデザインだけでなく機能面でもアッと驚かせられるような新しいプロダクトを作るブランドというイメージがありますが。
その代表的なのが、ラビットバイブの挿入部分とラビット部分が、別々に動くという機能ですね。これは、LELOが2014年に世界で初めて作ったんです。それまでは全部一緒に動く連動タイプのみでしたが、LELOは連動パターンのほかに、別働パターン取り入れて、バリエーションを広げました。パッと見た時に、「こうやって使うんだろうな」と想像していたものが、実際使ってみた時に、「コレってなんだろう?!?今までと違う!!!」と驚かせられるような機能はLELOのひとつの大きい特徴ですね。
もうひとつ機能面でいうと、「Luna Beads」があります。「膣トレ」の認識が最近広まってきていますが、プロダクトとして初めて世界に出た膣トレグッズがLuna Beads。そのため、膣トレグッズの総称を指してLuna Beadsと言われることもあります。Luna Beadsは海外では病院でも採用されていて、医師から使用を勧められて、病院で購入することも出来るポピュラーなもの。日本でも病院やドラッグストアでLuna Beadsが購入出来れば、もっと膣トレが身近なものになると思うので、今後は日本でも、病院で展開されるようにご紹介していきたいですね。
ラブピ:女性が安心してトーイを使えるために、どのような努力をされているか教えてください。
トーイを当てる部分は粘膜に直接当たる場所で、経皮による吸収率が一番高いところなので、素材に一番気を使っています。害のあるものが身体の中に吸収されないように、医療の手術に使われる「メディカルグレート」と呼ばれる高品質のシリコンを使っています。
シリコンというと最近では特に珍しくない素材にも思われますが、LELOのシリコンは、実際に触っていただくと非常にスムーズでなめらかで、穴が無くて、半永久的に使うことが出来る劣化のしないシリコンだということがお分かりいただけると思います。
また、素材も含めて製造は全て自社工場で行っています。全ての製造のプロセスを自分たちの管理下に置くことによって、一番最後の品質チェックも抜き打ち検査ではなく、商品ひとつひとつを全て確認する。私たちは100%品質チェックをしたものしか外には出しません。それでも、お買い上げ頂いた商品に不具合が起きた場合のことを考えて、「1年製品保証」と、「10年品質保証」を設けています。「1年製品保証」は購入後一年以内の不具合は商品を無償交換する保証。そして「10年品質保証」は、購入後10年以内であれば、不具合があった場合同じ商品を半額で購入できるシステムです。
ラブピ:LELO直営店はあるのでしょうか?今後日本でショップを作る予定は?
LELOは全世界で50カ国の展開がありますが、全て代理店やインターネットを通しての販売で、直営店の展開は現在ありません。日本でも、セックストーイとして専門店を持つというよりも、どちらかというと、ビューティーやヘルスという位置で発信していきたいと考えているので、敢えてショップ展開するのではなく、ビューティー、ヘルス業界の人たちと一緒に活動するフラットな状態でお客様に提案していきたいなと思っています。
海外のほうは、直営店を持つというよりも、カンヌ国際映画祭やミラノのデザインウィークへの出展など、ハイブランドとしてのプロモーションをしていて、また皆様にもそう捉えて頂いています。今のところ海外でも直営店を出す予定はありません。
もちろん、直営店があれば直接お客様にお伝えすることが出来ることはメリットですが、今のままだと「セックストーイ」という側面ばかりが注目されがちで、直営店があっても女性のお客様は入りにくいと思います。もっと社会的にトーイが広く受け入れられ認知されるようになれば、直営店の展開もしていきたいと思います。早く実現したいですし、そのためにももっと多くの方に製品の魅力を伝えていきたいですね。
これからLELOを使いたい日本の女性に向けて、メッセージをお願いします!
日本では、女性の性に関する意識はかなり高くなってきていますが、まだ女性が性的に解放するところまできていないと、LELOの仕事をしていて感じます。でも、そういう意味では今後さらに伸びる余地があるのではないかと思っています。
というのも、恥ずかしいんですけど、私自身この仕事に就くまで一回もセックストーイを使ったことがなかったんですね。触ったことも使ったこともなくて。私みたいな女性ってすごく多いと思うんです。興味はあるけど、触れる機会がなかったり使用することが恥ずかしかったり。
けれども、営業をはじめる前に、友人にLELOの商品を見せたところすごく興味を持ってくれたんです。ネガティブな反応どころか、すごくポジティブな反応がかえってくる。「サンプル欲しい!」とか「こういう悩みがあるからいいかな?」「使ってみてこういうところがよかった!」みたい感じで、女性同士でポジティブにこういう話ができるんだ、といういい驚きがありました。
セックストーイは、日本ではまだ単純に「エロ」という認識が強い。ですが、ヨーロッパでは、セックストーイが美容や健康面をサポートするようなアイテムとして認知されるようになってきています。例えば、ビューティー業界では、セックスをすると肌質がよくなるとよく言われていますが、セックストーイでも同じような効果が得られると言われているんです。また、使えば身体も心もスッキリして深くきちんと眠れるようになったり。もちろん、一人で使うだけでなく、パートナーと一緒に使えばコミュニケーションが深まります。セックストーイをスキンケアのように、身体とこころを「内側からケア」するツールとして使っていただきたいなと思っています。
LELOの創立者の言葉に「人を自由にするのは、自由な人々である」という私が好きな言葉があります。使うことによって身体だけでなく心も解放されて、生活が向上する、そういうセックストーイの魅力をもっと提案していきたいですね。
インタビュー・構成:LPC編集部
【編集部感想】
「トーイを通して女性の身体とこころが今よりもっとポジティブになれるようサポートしたい!」。女性たちを応援する想いに溢れた、とってもエネルギッシュな伊藤さん。ラブピースクラブをはじめた21年前は、セックストーイ業界で働く女性がまだ少なかったものですが、それから時を経て、同じポリシーを持った女性たちが増え、繋がってきていることに今後の展開が増々楽しみになりました!いつも私たちの想像の一歩も二歩も先をいく革新的なトーイを届けてくれるLELO。この次も、どんなステキなトーイを私たちに届けてくれるのか?!楽しみです!
【LELO】
2003年スウェーデンで、フィリップ・セディック、エリック・カーレン、カール・マグナソンの3人が創立。「女性にプレゼント出来るようなインティメイトなトーイ」をコンセプトに、洗練されたデザインとパッケージの細部にまでこだわったラグジュアリー感、そして、高品質の素材と高い機能でセックストーイの一大ブランドに成長、現在世界50カ国で展開中。ラブピースクラブでも、自分のためやプレゼントとして購入されるお客様も多い老舗人気ブランド