ヘヤビアンの部屋 第4回 「牧場物語」/「Stardew Valley」
2019.09.19
(S=ハッカパイプス:さいとう / A=ハッカパイプス/あきお)
A まずは第1回おはなし会に参加してくださった皆さん、ありがとうございました!! 「オーシャンズ8」の推しの発表から始まったあの盛り上がり……昨日のこと※1 のように思い出されますヨ ※2。
※1 実際には6月末の出来事。
※2 記事にするのが遅すぎました。すみませんでした。
S 参加者の皆さんに楽しんで頂けたのでしょうか。不安です。
A 私は楽しかったよ!! 様々な皆さんに集まって頂いたので、今まで目を向ける機会があまりなかったようなコンテンツにキラ星があることを発見したり。最近のEテレは時代を反映してジェンダー観が洗練されてきている、とか。やっぱり好きなコンテンツの紹介を聞くのは楽しい! それだけではなくて、残念コンテンツに対して「ここが惜しい!」「ここがありえない!」みたいな怨嗟を発表する場も必要だと感じたね。モヤモヤっとしたものを解消する場というか。
S たしかに、一般に評価されている作品がセクシスト要素を含んでいることも多く、批判すること自体難しく感じますね。以前「ディズニー作品は好きではない」と言ったら、困ったことになりました。
A それはそうだろうなあ。でも、近年のディズニーはポリティカリーコレクトなコンテンツを連発することで、今までの重大な罪を贖おうとしてるように見えない? きっと長大な贖罪の道程の途中なんだよ。
A ところで、「牧場物語」の新作「再会のミネラルタウン」見ました? 「ミネラルタウンのなかまたち」シリーズに思い入れの強い我々は黙っちゃいられないね。
S 見ましたよ。しゃらくせえリックを見ましたよ。あのにわとりにしか興味ないところがよかったのに、おしゃれ大学生みたいになっていました。
A そして別人と化したカレン。あんなの私が結婚したカレンじゃないわ! 私の知っているカレンは触るものみな傷つけそうな目つきをしていたのよ!
S まったくです。
A ……楽しいイベント反省会から一転、文句たらたらにおっぱじめてしまいましたが、この度は「牧場物語」をはじめとしたゲームについて語っていこうではありませんか。
S 文句が出るのも「牧場物語」シリーズを愛すればこそですよ。シリーズで私が最初にプレイしたのはゲームボーイカラーの「牧場物語GB2」でしょうか。当時は恋愛・結婚システムの存在はおろか、住人に名前がついていたかすら記憶がおぼろげです。
A 私はね、ゲームボーイ。カラーですらない。「牧場物語GB」。名前のある人間、いたっけ。資材やどうぐを売ってくれる店の店主、みたいな感じ。馬とワンコはいたけど。ニワトリ小屋がいっぱいの状態で「ふかそうち」にタマゴをいれたが最後、一生孵化しないタマゴがそこに永遠に残り続けるバグも懐かしい、当時最先端のゲームだったわ。
S こうして振り返ってみると、農場ゲームに恋愛・結婚要素が盛り込まれたことはなかなか新しかったのですね。私の場合、「ミネラルタウンのなかまたち」シリーズの初プレイはゲームボーイアドバンスでした。
A 私はサンタさんからもらったプレステ2でプレイした「ハーベストムーン」。そして生涯の嫁、カレンと恋に落ちました。めでたしめでたし。
S 勝手に終わらせないでください。その後、女性をメイン主人公に据えた「for ガール」というシリーズも発売されましたよね。この頃から、頑なな異性愛を前提とした姿勢が窺えます。実際、主人公の恋愛対象は異性のみですし、他キャラクター同士が交際する場合も必ず女性と男性の組み合わせです。
A ホントだよ。「for ガール」とか出してねえで同性婚可にしろやと何度思ったことだろうか。「for ボーイ」でプレイしないとカレンと結婚できないんだよ。そんなわけで、ハーベストムーンのGBA移植版でカレンと二度目の結婚をして、それが私のラスト牧場物語ですね。ウン。
S 私はそのあとニンテンドーDSやニンテンドー3DSで出た作品もプレイしています。現時点での最新作「3つの里の大切な友だち」もやりました。男性と関わるのが苦手な女性キャラクターが出てきて、おや、と思ったのですが、その設定が結局主人公(男性)とくっつくためのスパイスとして使われていたのが非常に嫌でした。顔はタイプだったのですが、男性が苦手な女性に自分(男性)とくっついてほしくないと思ったため、結婚には至っていません。
A たまんねえなその葛藤。
S カレンは最初キツめな態度をとりますが、最終的にはデレデレになるんですか。
A なるよ。もうデレデレよ。仲良くなる前でも、大好物の3つのPを貢げばデレっとした顔を見せてくれるんだ。ピザ! ポテト! ポップコーン!
S 残念です。ならば、やはり主人公(男性)とはくっついてほしくない。……そういえば、あの無礼者の男もデレデレになるのでしょうか?
A 無礼者?……グレイのことかー!! 知りません。「for ガール」やってないから。どうせデレデレだぜ。うわっ、見たいぞ。「for ガール」やろうかな。まあ、皆さん好感度を上げてハートが赤くなったらもうデレデレじゃないの。ハートに火をつけて、ってなもんよ。みんな可愛いんだよ。私はカレンちゃん一筋だけど、ランちゃんには心が百合動いちゃった。じゃないや、揺れ動いちゃった。
S ランさんは良い方ですよ。礼節があるし、何より、牧場でとれた卵を温泉に投げ入れるだけで容易に制作可能な温泉卵で好感度が上がるんですよ。
A 良い人の基準が! 贈り物のラクさ!
S カレンやランさんと結婚するために、男性PC(プレイヤーキャラクター)でプレイするのはレズビアンあるあるではないでしょうか。PC自身は喋らないので、私もいけるかなと思ったんです。ところが、恋愛イベントで「さいとうくんって本当にたのもしいね。やっぱり男の子はちがうなあ」といった不適切発言が飛び出すんです。一定以上の好感度になると「相手のことを"異性として"意識する」というイベントが発生するので、こうしたことが起こってしまうんです。「for ガール」でも同様で、「おまえって、結構女らしいところもあるんだな」みたいな言葉を投げつけられる事態があり得ます。
A 全然だめだね。PC(プレイヤーキャラクター)の扱いがPC(ポリティカリーコレクト)じゃないね。
S つまり、単純にPCの性別を選べるようにするだけでは不十分で、同性婚を可能にするならば各イベントの仕様も見直すべきではないだろうかということです。「牧場物語」シリーズが大好きなので、期待しています。
A で! そうした点も含めて我々が評価しているのが!
S 「スターデューバレー」というインディーズゲームです。長い前置きになってしまいました。牧場物語シリーズにインスパイアされて製作され、システムはまさにそっくり。しかし、PC(見た目はカスタマイズできる)のジェンダーを問わず、対象となるキャラクター全員と恋愛・結婚・離婚まで可能なのが特筆すべき点でしょう。
A 私も、今回はいつもと逆で、さいとうさんに脅されてPS4版をプレイしました。
S PS4でやるようなゲームですか、あれが。
A 4K画面で観るドット絵は頭がクラクラすらぁ。じゃあ、さいとうさん、推しの話をどうぞ。
S マルです。天体観測やロボット製作に打ち込む女性です。科学技術に強い女性キャラクター自体が珍しすぎて、びっくりしてプロポーズしてしまいました。今までそうしたキャラクターが日本のコンテンツの中で描かれていなかったわけではありませんが、例えば感情表現が著しく乏しかったり、外見的魅力が非常に強調されていたりといった極端な表象が行われることが多かったように思います。一方で、マルはとても自然体なんですよ。ちなみに、マルと同じく科学技術分野における女性のイメージを広げたと思ったのは「ベイマックス」のハニーレモンですね。
A ディズニー作品観てるじゃん! 「ベイマックス」といえば私はレズビアンキラー(※勝手に認定)のゴーゴー・タマゴに目がいきがちでしたが、ハニーレモンは確かに魅力的なキャラクターだよね。
S ということで、マルこそが私のプリンセス・チャーミングなのです。
A 私のプリンセス・チャーミングも聞いて!?
S いいですよ。あきおさんは、現時点で誰の好感度が一番高いのでしょうか。
A ペニーとシェーンがデッドヒートしています!!!
S ちなみに、シェーンは男性キャラクターですね。
A そう、私はコンテンツ上なら、わりあい男性キャラクターでもろまんちっくな感情を抱けるんですよ。
S なるほど。私も何かのゲームで、何とかっていう男性キャラクターと交際したことがありますよ。
A ほぼ全部忘れてるじゃん。
S 残念ながら。あきおさんは他ゲーム「スカイリム」でも男性キャラクターと結婚していましたものね。
A あれは湿地帯のせっちゃんが抗しがたいカッコよさで……さいとうさんは主人公がアルゴニアン(トカゲ型種族)女性で、同じくアルゴニアン女性のシャーヴィーちゃんと結婚してましたね。私はネコ。
S ほほう。
A 違う違う! 私の場合、「スカイリム」の主人公がカジート(猫型種族)女性で、アルゴニアン男性と異性異種族婚をブチかましておりますっていう話ね!? ネコ違い! いやなにが違うんだ!? ビアンギャグみたいになっちゃったぞ!
S いつの間にかアルゴニアン大好きなアルゴビアンの部屋になってしまいましたね。
A 今の一連のギャグはメモらせてもらいましたからね。後世に残っちゃうんだからね。
S 望むところです。