若者も読める海外クィア女性文学をもっと日本に!ひとりの少女のサバイバルと再生を描いた「The Miseducation of Cameron Post」翻訳クラウドファンディング・プロジェクトについて。
2019.06.13
みなさんは以前、クラウドファンディングで翻訳出版されることとなった絵本「ふたりママの家で(In Our Mothers’ House)」をご紹介したことを覚えていらっしゃいますでしょうか。
あの素晴らしい絵本の邦訳を出版した出版社「サウザンブックス」さんが新たな邦訳出版クラウドファンディングを始めました!
サンダンス映画祭2018グランプリ受賞の原作小説、
ひとりの少女のサバイバルと再生を描いた、
『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版したい!
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2833
今回、クラウドファンディングに選ばれた小説のタイトルは「The Miseducation of Cameron Post」。
実は、クロエ・グレース・モレッツ主演で映画化されていて、映画はサンダンス映画祭でUSドラマ・コンペティション部門においてグランプリを受賞しました。日本では残念ながら劇場公開されませんでしたが、DVD化はしており、映画タイトルは「ミスエデュケーション」です。
この映画の原作「The Miseducation of Cameron Post」は、10代のレズビアンの少女が同性愛「矯正」施設に入れられる、という衝撃のストーリー。理不尽な環境を生き抜く主人公の姿に多くの共感が集まり、数々の文芸賞を受賞した作品です。
同性愛「矯正」治療の施設については、現在公開中の映画「ある少年の告白」でも描かれ、最近日本でも取り上げられることが増えたように思います。多くの州で非合法化されていますが、実際に現在もアメリカでは一部の州では合法として存在しています。
著者のエミリー・M・ダンフォースは同性パートナーと暮らす大学の助教授で「レズビアンの少女の成長物語を書きたい」と執筆しました。実際に同性愛矯正治療キャンプに送られた子の調査を行ったことが物語のベースとなっているそうです。
日本でもLGBTQ、マイノリティが主人公の小説はありますが、なかでもYA小説というジャンルでレズビアンが主人公では本当に少ないのが現実です。思春期に自分の性について悩んだとき、手にとって欲しい。心の支えになるような作品が増えてほしい。
今回のクラウドファンディングは、そんな願いから始まりました。
サウザンブックスさんの活動報告にその思いが掲載されています。少し長いのですが、引用いたします。
物語の登場人物と自分を重ね合わせて「あ、この感覚、知ってる」「その気持ちわかる」と感じる体験は、楽しいものです。胸が高鳴るものです。時には痛いほど共感して涙が出てきたり、じわじわと勇気がみなぎってきたり、救われる気持ちになったりして、心を大きく揺さぶられます。
すぐ近くに存在していそうな、血の通ったLGBTQの登場人物が私たちの人生に与えてくれるものは、思っている以上に絶大です。「かけがえのない道標」にもなり得ます。 ほかのありとあらゆる人と同じように、日本社会に生きるクィア女子、クィア女性たちにも、物語の主人公に自分を重ね合わせて想いを馳せる資格がある。そしてその資格が「自分にもあるんだ」と気付く瞬間は、人生のうちで早ければ早いほど良いはずです。
誰も死んだりしない、悲劇的なエンディングではない、希望を持って楽しめるハッピーなレズビアン作品は、近年どんどん増えてきました。今後は、レズビアン/クィア女子が活躍するYA小説を、もっと日本の若者に届けたい。
だからこそ、私たちPRIDE叢書は、10代レズビアンの等身大の感情がぎゅっと詰まったYA小説、『The Miseducation of Cameron Post』を翻訳出版したいと強く思っています。
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/
2833/activities/8018
クラウドファンディングは7月21日までです。
出版成功を祈って、スタッフ・アンリもクラウドファンディングに参加しました! 書籍が届くの、とっても楽しみです!
そして、ラブピースクラブもこちらのプロジェクトを応援しています!
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「The Miseducation of Cameron Post」あらすじ
(クラウドファンディング公式サイトより)
舞台は90年代初頭の米・モンタナ州。12歳の主人公キャメロン・ポストは、女の子とキスをした翌日に交通事故で両親を亡くし、超保守的な叔母との生活を余儀なくされます。その後「秘密」がばれてしまい、叔母によって同性愛の矯正治療施設「神の約束」に放り込まれてしまいます。施設でさまざまな矯正プログラムを通し、職員たちから「同性愛は罪」と繰り返し伝えられる日々にとまどい、うんざりするキャメロンですが、そこで出会った仲間たちとの絆を深めていきます。しかしある日、大事件が起こり…。
キャメロンは、仲間たちは、いったいどうなってしまうのか。
■こちらから、本書翻訳の冒頭部分をご覧いただくことができます
→http://thousandsofbooks.jp/wp-content/uploads/2019/05/TB_Miseducation_browsing.pdf
■クラウドファンディングはこちらから
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2833
(スタッフ・アンリ)