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また新しい裁判が始まった。と云っても、自分の裁判ではない。昨年末までに2つの反ヘイトスピーチ裁判が終わり、まだいろいろ係争中のこともあるがそれは置いといて。今回紹介するのは2月12日、「ジェンダー平等社会の実現に資する研究と運動の架橋とネットワーキング」研究グループの4名の共同研究者が杉田水脈衆議院議員を名誉毀損で提訴したことについてだ。

杉田議員は、これらの研究について「反日研究」「ねつ造」などとツイッターや「言論テレビ」などで繰り返し中傷。税金が投じられている科研費(科学研究費補助金の略、大学や研究機関の研究に出す国の補助金)を監視しようと呼びかけた。杉田議員が何故この研究グループを狙い撃ちしたかと云えば、この研究グループの研究者たちが、日本軍「慰安婦」問題や、フェミニズム運動などについて第一線で研究を重ねてきた人たちだからだろう。

杉田議員は昨年7月に発売された月刊「新潮45」にLGBTに関する記事を寄稿し、「生産性がない」などと発言したことでも知られる。しかし、それ以前から日本軍慰安婦問題に関連して、さまざまな行動を起こしてきた。2013年12月には、アメリカ・カリフォルニア州グレンデール市を訪れ、慰安婦像を撤去するよう要請している。また、落選中には民間団体のなでしこアクションとともにNYの国連関連イベントに何度も参加し、「慰安婦は性奴隷ではない」と主張してきた。

私が彼女の行動で覚えているのは、2016年に行われた国連女性差別撤廃委員会について書いた彼女のブログ記事だ。「【日本国の恥晒し】流石に怖かった今回の国連」と題し、参加していた左翼活動家たちを「ハッキリ言って小汚い」と述べ、さらにはチマチョゴリやアイヌの民族・伝統衣装を着用していた報告者について「コスプレおばさんまで登場」などと揶揄。恥晒しと糾弾したことだ。

私は前述した2つの反ヘイトスピーチ裁判では、ずっと朝鮮半島の民族衣装であるチマチョゴリで法廷へ向かった。自分にとっての民族衣装は、自分を守ってくれるお守りのようでもあり、闘うための鎧のようなものでもあった。また、自分の民族についての誇りだ。国連で報告した方々も、そのような思いからだっただろう。他者の持つルーツや誇りを簡単に踏みにじってしまえる人が、現在も国会議員であることが恐ろしいし、そのことを容認している(ようにしか見えない)与党にも嫌悪感しかない。

話は脱線するが、この春には、統一地方選が始まる。在日朝鮮人の自分には、日本での選挙権や被選挙権はないが、選挙や政治に深く関心を持っている。大阪では、多数の女性候補者の姿を見かけた。この社会をリアルに体感している、庶民の生活や現場の声をしっかりと伝えることのできる女性議員がもっと増えたらいいのに、と思う。どうか、未来を託せる人、この人と社会を作って行きたいと思う人、歴史を正しく見つめることのできる人、弱者の声を拾い上げてくれる人に投票してほしいと願う。同時に、名誉男性のようにふるまい、弱者や女性の尊厳を脅かす女性議員なんかもういらない。

差別は上からの差別と、下からの差別があるという話を昔聞いた。上からの差別と云うのは、国や政府が主導して行うもの。例えば朝鮮学校の無償化除外などは、その最たるもので「官製ヘイト」と呼ばれることもある。そして、国会議員が歴史を修正し、デマをふりまくことも同じことだ。多くの教科書から日本軍慰安婦問題や関東大震災での朝鮮人虐殺の記載が無くなったこと、それもまた差別の土台になっている。正しい歴史を学ぶ機会が奪われようとしている今、国会議員が学問の自由まで脅かそうとしている。決して許してはならないし、この裁判は、歴史問題と差別が根底にある。多くの支援の輪を広げて行きたいと思っている。

最後に、この裁判の弁護団の上瀧浩子弁護士がフェミ科研費裁判支援の会へ送ったメッセージを紹介したい。

裁判に寄せて

弁護団弁護士 上瀧浩子

牟田和恵さんらが私の事務所にみえたのは、2018年4月でした。被告が書いた「「慰安婦は強姦された」これはねつ造です」、「学問の自由は尊重します。が、ねつ造はダメです」というツイートを読んだとき、これは牟田さんの研究グループと、元「慰安婦」のかた双方に対する攻撃だと感じました。この裁判は、牟田さんら研究グループの研究者としての尊厳とともに元「慰安婦」の人たちの尊厳を回復する裁判でもあると思います。

被告が、この研究グループの研究内容にまで言及したのは偶然ではありません。研究グループのメンバーは、フェミニズムの視点から女性の生きづらさ、日本軍「慰安婦」、フェミニズム運動などの理論を深化させてきた第一線の研究者たちです。研究グループは、既存の男性中心の価値基準に批判を加え、運動と理論との架橋をテーマにしたため名指しされたと思います。そして、被告は、原告らの研究を「反日活動」などと貶価し、科研費を使うのは問題だといいます。これは、戦前、学問が「国家ニ須要ナル学術」(大学令)とされていたことを想起します。けれども、学問は既存の価値を批判し新たな価値を生み出す作業であり、既存の価値に奉仕することではありません。

この裁判が、ジェンダー平等のために歴史と現在、学問と運動の架橋になることを願っています。そして、弁護団は研究グループとともにこれを架橋する役割を担っていきたいと思います。多くの方のご支援をお願いいたします。

この裁判の第1回口頭弁論期日は、京都地裁 101号大法廷で5月24日(金)1015~から。当日は、原告らの意見陳述もある。傍聴席を支援者で埋め尽くすことで、原告らを支えたいと思う。みなさまも、ぜひ参加を!

  • 国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判支援の会

http://kaken.fem.jp/

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