最近、ずいぶん春らしくなってきたように思う。寒がりな私も、部屋の中で紅茶ばかり飲んでいないで、バイクに乗ろうかなという気にもなってきた。
冬の間はたまにエンジンをかけたり、近所を一周したりするぐらいでほとんど乗っていなかったバイク。久しぶりに乗ろうと思っていたのだけど、一週間前の休日に、とうとうエンジンがかからなくなってしまった。ライトもつかないし、どうやらバッテリーが消耗してしまったらしい。
バイクショップに電話をかけ、「バイクのエンジンがかからなくなってしまいました。どうしたらいいでしょうか。」と泣きついてみた。(本当に泣きそうだった。) すると、「すぐにうかがいます!」と心強いお言葉。ガレージの場所をしどろもどろに説明し、電話を切ったあとの数十分間、バイクショップの名前の入った軽トラックが私のガレージに到着するまで、私はなす術もなくただボーっとしていた。(ほとんど放心状態。) そして、バイクショップの店員さんが到着し、私のバイクをチェックし、軽トラックの荷台に乗せている横でもまったく手伝うこともできず、ひたすらボーっとしていた。そしてまたたく間に私のオートバイは運ばれていったのであった。
しばらくするとバイクショップから電話が入り、「バッテリーがダメだっただけで、エンジンは大丈夫でした。しばらく乗っておられなかったようですが、ついでに一通り点検しましょうか?」ということであった。そして、数日間、バイクショップにバイクを預けることになり、元気にエンジンがかかるようになって、昨日やっと私の手元に戻ってきた。
さっそく、スギ花粉が大量に飛び散る中、バイクで走り回った。ガソリンも満タンに入れ、ついでにヘルメットもグローブも新調し、久しぶりのバイクを楽しんだ。日ごろクルマに乗って走っている道も、バイクで走るとずいぶん感じが変わる。いつも普通に走っている道がデコボコして走りづらかったり、ビルの谷間の強風に吹かれたり。
私は400ccの大きめのバイクに乗っているのだけど、実際のところ、ふらふらのろのろカッコ悪く走っているため、原付に追い越されたりするのもザラである。「原付を乗りこなせるようになってから、大きいバイクを買えばよかった。」と本気で思ったことも一度や二度ではない。今のところ、かろうじて自転車に追い越されたことはないが、そうなるのも時間の問題かもしれない。
そして、カッコ悪さ丸出しにしながらも久しぶりにバイクに乗って自己満足にひたっていたとき、私の左足が思いっきり“こむら返り”を起こした。“こむら返り”も久しぶりであった。ギアチェンジをすることに疲れたのだろうか。バイクに乗っているときじゃなくてよかったが、数十秒間の激痛に、もだえ苦しみ、なぜか装用していたメガネを投げ捨てた。強度近視のため、メガネをはずすと何も見えないので、激痛に耐え抜いたあと、投げ捨てたメガネを手探りで見つけなくてはならなかった。が、私はなんでメガネを投げたんだろう? 謎である。
バイクに乗っただけでこむら返りを起こすなんて、日ごろとれだけ運動不足なのかがうかがえる。筋トレはしているのだけど、全身を動かすような運動はあまりしていないからなぁ。今後はちゃんとストレッチなどの準備運動をしてからバイクに乗る必要がありそうだ。
こんなふうに、自分がGIDであることに関係なく、趣味でバイクに乗ったり、いろんな紅茶を飲んだり、私の生活もずいぶん落ち着いてきたものである。昨年の秋ごろからホルモン治療を始めたことでGIDであることのストレスが軽減され、「GIDだから」と考えることがほとんどなくなった。毎日、平凡に暮らしていることがすごく幸せだと感じる。
そして、「毎日を平凡に暮らしていく」ことをじっくりと楽しもうと思い、GIDであることを中心に書いてきたこの連載も、今回で終わらせていただくことにした。
今まで読んでいただいてありがとうございました。
増田 慎