
こんにちは。
前回のゲバビラで、さんざんなことを言った健康診断で検便に引っかかってしまった、アジ原ゲバ子です。皆様、いかがおすごしであられますか。
ちなみに検便は、「便潜血反応」というものが出てしまって、大腸がんか大腸ポリープか、はてまた痔が疑われるのでありますが、それを同志キタハラに言ったところ、「大腸検査」でアナルの奥(つまり大腸)を弄られるのがいかに恍惚かということを、とうとうと説かれてしまった。やはり、持つべきものは変態な同志である。
さて、先日、国際問題評論家で、最貧国の債務帳消し問題などに取り組む、北沢洋子さんの講演を聴く機会があった。
「グローバリゼーションとテロ・イラク戦争」と題されたその講演で、北沢さんは、1980年代から始まったグローバリゼーションで、市場経済が世界規模に広がった結果(特に冷戦以後)、貧富の差が増大し、その暴力的までの不正義・不条理がテロを生み出していること、そして日本のメディアをふくめたメディアがテロ組織と呼んでいる団体が(イスラム原理主義グループなど)実は最貧の地域にいて無医村医療や学校経営などをおこなっていることなどを語った。北沢さんはアメリカによるアフガニスタン攻撃以来、いろんなところで書いたり話したりしている方で、今までアフリカにいたりNGO活動をやったりという経験から次々と途切れることなく生み出される言葉は、それはそれは生きて踊っていて、面白く胸をつくのであった。
その中で、北沢さんが「日本の新聞では書かれないが」と前置きした上で、これまでフセイン政権のもとではイラク国内に外国資本が入ることはできなかったが、これからは外国資本でもイラク国内に進出できるようになったというのだ。北沢さんの話では、ニューヨークタイムズの記事で、しかも米・英によるイラク占領軍によってイラクへの「投資奨励法」ができたということであった。
早速ゲバ子、ネットなるもので調べてみたのだが、検索の仕方が悪いのかヒットしない。代わりに見つけたのが(ニューヨークタイムズではないが)、先月21日に、占領行政府の財務大臣が「今後はイラクにおいて、石油などの天然資源以外の全ての分野において100%の外国資本が投資を行うことができる。」と発表したものであった(http://www.dawn.com/2003/09/22/int1.htm)
この状態を、北沢さんは「イラクの乗っ取り」と称する。
イラク攻撃の真の目的は、この「イラクの乗っ取り」でなかったか。
確かに、イラクに埋蔵されている石油資源の旨みもあるだろう。1998年の石油可採埋蔵量の資料によると、アメリカに残る石油は7年、世界でもっとも長かったのはイラクの140年。さらに5月11日のアメリカ・タイム誌は、イラクの原油生産量が将来1200万バレルにまで拡大し、世界一の原油産油国になるだろうとする、イラクの元石油当局者の見通しを報じた。また、イラクで発見済みの油田80のうち、現在17ヶ所しか開発されていない。そして、1バレル当たりの生産コストは、米国が約10ドル、サウジアラビアが2,50ドル、イラクが1ドル未満と際立って安いと指摘している。加えて、イラク石油部門の諮問機関のトップにはアメリカ石油大手のシェルのフィリップ・キャロル元社長が就任。しかもアメリカの軍需産業の役員たちは、石油会社の役員も兼ねていて、その軍事企業トップのロッキード・マーティン社は、国防総省との契約高が472億ドル、政治献金は417万ドルでいずれもトップなんである。
しかしながら、「・・単にアメリカの石油資源戦略としてイラク攻撃が行われただけでもない。同様に、単なる復興ビジネスによる利益チャンスの創出、獲得だけが狙いだったわけでもない」と経済評論家の内橋克人さんはいう。つまり、北沢洋子さんが、いみじくも「イラクの乗っ取り」と称したように、「他の資本主義経済の国々と同じく、イラクもまた「世界市場化」の対象に組み込むべきこと。イラクを突破口に資本主義経済の精神と原理を中東、すなわちイスラムの世界に浸潤させ、彼らを市場経済に同化すべき」(内橋克人「もうひとつの日本は可能だ」光文社)ということが目的になっていたという。
世界市場化=グローバル化=グローバライゼーションとは何か?
それは、社会のありとあらゆる財、その中には自然とか環境とか憩いとか水とか空気とか「みんなもの」とか、目にみえるもの、目に見えないもの、それらを全部ひっくるめた財を、金の力=資本の力で収奪できる「市場」というものを世界規模で広げていくというシステムであるとゲバ子は解釈している。
この「世界市場化」がイラク攻撃の真の目的であると指摘する内橋さんは、その論拠として、ATTACという反グローバリゼーションを主導する国際的なNGOのウェブサイト(英語版)の分析をあげる。アメリカ国務省のウェブサイトからウォール・ストリート・ジャーナル誌はじめヘリテージ財団などのシンクタンクが招集した会議、またレーガン政権時代の国家安全保障担当補佐官の最近の署名入り記事などを豊富に提供したこの記事は、
「イラク占領政策」が、
@ 全面的民営化の推進
A 財産権の確立
B 企業行動自由化の対象
が主な項目であったことを指摘する。
@ ではイラクの徹底した「市場経済化」「全面的な民営化」を内容とし、Aでは現代イラクには現存せず、まだ確立されてもいない「私有財産権」を確立する近代的、合法的環境を整備すべきことを内容としており、Bは石油資源開発を含む鉱業、石油資源をベースとした化学工業、土木・建設業などすべてを自由な民間企業活動の対象とすることを内容としている。
この分析どおり、先月21日には「Open Iraq」として、前述したように「石油を除く全ての分野で100%外国資本が企業活動を行っていい」という発表がなされ、ATTACのウェブサイトを開けると出てくる「The World is not for sale!」というスローガンにあるように、まさに、イラクは世界に売りに出されたのである!! 叩き売りである!!
前述した、アメリカ・イギリス占領軍をバックにした、イラクの財務大臣のコメントは象徴的である。「(100%外国資本の投資を誘致することは)イラクの経済市場を自由で開かれたものにするのに必要であり、ひいては将来、イラクの経済成長を推進し、国際経済への仲間入りを促進するものである(significantly advance efforts to build a free and open market economy in Iraq, promote Iraq's future economic growth and accelerate Iraq's reintegration into the international economy,)」
じゃあ誰に売りに出されたのであろう??
ゲバ子の近所のちっちゃなお店がイラクで企業活動を行えるはずもなく、できるのは、冷戦後今や東欧など旧共産圏を含め全世界にわたる「世界市場」において、企業活動を展開する多国籍企業である。
さて、ここまで書くと、「イラクが近代化して、いろいろな企業が入り込んだほうがイラクの国民が雇用されてイラク経済が潤い、ひいてはイラク国民の生活水準が上向く」という人がいる。
そう、「世界市場化」を目指す人たちの理論的指導者はミルトン・フリードマンという経済学者で、それは新自由主義経済と呼ばれるものだが、そのスローガンはこうだ。
「市場にまかせさえすれば、全てはうまくいく」
確かに、イラク攻撃前のイラクの人に経済的不正義が全くなくて、豊かであったとは、いえないであろう。というより、あまりにも知らされていない国でわかりようがない(逆ギレ)。
が、それはあまりにもあまりにも、ナイーブすぎないか??? 本当なのか??
たとえば、フィリピンのミンダナオ島は地下資源の豊かなところであるが、油田開発、熱帯雨林の伐採、鉱山開発、食物プランテーション農場建設を行う企業のほとんどが外国の多国籍企業。ミンダナオ島の51%の土地を外国企業が占有しており、その資源の豊かさからフィリピンの総収入の60%を稼ぎ出しているが、そのうちの18%だけがフィリピン人のものであって、42%、3分の2以上が外国企業のものである。しかも、外国企業の活動する油田開発予定地や、木材資材置き場、鉱山開発予定地では先住民族の人が住んでいるが、フィリピン政府の公式発表により、MILF(モロ・イスラム解放戦線)をテロ集団と決め付けて、テロ撲滅のための軍事作戦として先住民に爆撃を加えている(現在、沖縄の読谷村にあるトリイ・ステーションから、アメリカの特殊部隊が参加して共同作戦を行っている)。しかも、そのような外国企業に雇われている人には、労働組合活動の権利はなく、休みをとる・法定労働時間などの基本的権利もろくに保障されないまま、他の先進国ではできないが、フィリピン政府が保証してくれる(外資導入策)、環境破壊(自国環境基準よりゆるい)、人権侵害、差別、軍事力による住民排除、土地の強奪によって多国籍企業は非常に円滑にその活動を行うことができている(以上、高岩仁監督「第二の侵略」およびその解説より)。
これで一体、どうやってイラクの人が潤うというのであろうか。
数値をみてみよう。WTOという「世界市場化」を推し進める国際機関のおかげか、多国籍企業の肥大化は驚くものがあって、アメリカの政策研究所が2000年に発表した「トップ200企業のグローバル権力の台頭」をみると、国家のGDPと企業の年間売上を比較すると、「上位100位のランキングには、国家は49カ国しか含まれず、多国籍企業が51社も入っている。トップはゼネラル・モーターズの23位、以下、ウォルマートが25位、エクソンモービルが26位、フォードが27位、ダイムラークライスラーが28位にランクされている。この三社の年間売上高はいずれも、ポーランド、ノルウェー、インドネシア、南アフリカ共和国、サウジアラビア、フィンランドなどのGDPを越える。
日本企業のトップは三井物産で37位、以下三菱商事、トヨタ自動車と続く。その年間売上は、ポルトガルやベネズエラのGDPを上回っている。また、上位5社のそれぞれの年間売上は、後発途上国49カ国のGDPの合計額1560億ドルより大きい。」(北沢洋子「利潤か人間か」コモンズ)。
しかも、「60年には世界人口の最貧困層20%と最富裕層20%の所得格差は1対30であった。それが90年には1対60になり、2000年には1対78にまでひろがっている。世界のもっとも金持ちである200人の資産は、94年から98年のわずか4年間で、400億ドルから1兆ドルと25倍にも増えた。世界一の富豪ビル・ゲイツの資産は、6億人の人口を抱える後発途上国49カ国のGDPをあわせたものよりも大きい。」(同上 北沢洋子著)
北沢さんは「これはほとんど‘犯罪’だ!」と結んでいる。
この「犯罪」こそが、「世界市場化」の結果である!
このように、世界市場化=グローバリゼーションを暴力的に推し進め、「市場にまかせればすべてうまくいく」と市場経済を敷くことは、一体、誰のためなのかは明らかではないだろうか??それは決して、全てのイラクの人々のためではない!!その富はイラクの隅々に行き渡ることはない!!まして、社会・経済的に底辺に置かれる女性や子供はなおのこと、である!!
「市場にまかせれば、全てうまくいく」は、チンコ星人の避妊におけるセリフ「オレにまかせれば、全てうまくいく」と同じく、無根拠・不正義・暴力的きわまりない言葉である!!
イラクの叩き売りは始まった!
「市場にまかせれば、全てはうまくいく!」を合言葉に、世界市場化=グローバリゼーションはその暴力性を露に進められる!!
しかし、…・「市場にまかせれば、すべてはうまくいく」という言葉・・どこかで聞いたことがある!そう、今の日本である!!
日本とイラクは無縁でない。そして、めぐりめぐって、ゲバ子とイラクも無縁でない、ゲバ子とグローバリゼーションも無縁でない!!
次回は、イラク、日本、グローバリゼーション、ゲバ子、というキーワードでお届けする!
|
|
|