VOL.16 ベ〜ゼ・モア


ああ、春。春にございます!!
ゲバ子でございます。皆様いかがお過ごしでございましょうか。
春。ああ、春。少々埃っぽい強い風が吹き、髪型が崩れ花粉症を誘発するのもなんの その。その強い風は桜草やグラジオラスの甘い匂いを運び、ついでにチンコ星人の頭 のバーコードをめくり、春の風物を生むのでございます。河川敷にはタンポポ、菜の 花、土筆が生えそろい、おのずとゲバ子の体は春の歓びにうずき、「ヒヤッホーー! !」と雄叫び、一糸まとわぬ姿で青い草の上を転げまわるのでございます。

さて、いまひとつ春の歓びといえば自慰、すなわちオナニー。「春はオナニー、やう やうよくなりゆく」と枕草子にあるように、オナニー本番の季節であります。服を脱 ぐと寒いので布団の中でこそこそと済ませる必要もなく、冷たいローションの感覚に 思わず「あ!ちめてえ!!」と叫ぶこともなく、ディルドのあまりの冷たさにオマン コがびっくりしてしまうこともない。
春のオナニーはただひたすらに、暖かく、たおやかで、やさしい。
大声では言わないが、Pラビアがあれば(LPCで売ってます)なおよろしい。その 繊細なバイブレーションは蝶の羽を動かすがごとく、大地の春の波動のごとくであ る。

さて、大変私事ではございますが、近日ゲバ子は誕生日を迎えた。「自分、これから も頑張れ!」(AERA風)と気味悪い声援を送りながら、ゲバ子はこの門出に 「ベーゼ・モア」を観ることにした。
「ベーゼ・モア」。キタハラが絶賛し、LPCでも宣伝してある、あの「ベーゼ・モ ア」である。「渋谷系若者に馬鹿にされちゃいけねえ」とゲバ子、その日オニューの ヘルメットをかぶり、これまたオニューの鉢巻を締めて渋谷シネマライズに乗り込ん だ。

「ベーゼ・モア」。なんて、あああ、なんてパンクでかっこいいんだ!!ゲバ子、ア ドレナリン出まくりである。ゲバ看を描く以外にこんなにアドレナリンが出るなん て。そして不思議なことに、アドレナリンが一通り出た後には今度は副交感神経が活 躍して、なんとまあ、安らかな心持になるのである。
運命的に出会った二人、ナディーヌとマデュが殺人とセックスを繰り返していく。
セックスをやりたい時にやりたいようにやる!男を見つけて狙ってセックスして、さ ようなら。だから女二人に誘われて、のこのこついてきてコンドームをつける主義だ からと言って勃たなくなる男は論外。殴り殺すべし。
人殺しも、気に食わない奴をそのときにやりたいように殺していく!最後の決め台詞 や銃のかっこいい持ち方も考えて!殺されたくないから抵抗せずにレイプされ怒りと 傷を抱えるマデュに、マデュの気持ちも聞かずにレイプ犯を殺すといきり立つ兄。警 察官。背広姿のサラリーマン。女は銃を使わないと思っていた銃販売員。女二人と見 て気を許しふんぞり返ったブルジョアな男。金持ちのファック・クラブに群がる人 達。…・・。気に食わん奴は殺すべし!
ゲバ子、こんな射るような目をした、かっこいい闘う女主人公を知らない!媚びな い。人にも自分の欲望にも。「普段はバリバリ闘っているんだけど、ほんとは女の可 愛い一面をあるんですう」なんぞという「ニキータ」のような映画ではない。そして こんなに胸のすく映画を知らない。
マデュが言う、「(女は)車みたいなもんさ。置いてあったらこじ開けられちまう」 駅から家に帰る道でも一人暮らしの部屋でも、いつでもどこでも身の危険を感じねば ならないオンナが、殺される被害者のほとんどを占めるオンナが、オトコに本気で恐 怖を味あわせる。オンナがオトコ中心の社会に暴力革命を起こしている!!そんな映 画である。

観終ったゲバ子は、すっかり陶酔し、ガンを飛ばし肩で風を切って渋谷を闊歩して 行った。
「オラオラ、どけよ。女の方がよけると思ってんじゃねえよ」
「オラオラ、そこのオヤジ。電車の中で手を当てねえでクシャミしてんじゃねえよ。 菌が半径5メートル飛ぶだろうが」
「オラオラ、みんなで同じ色の背広着てんじゃねえよ。目障りなんだよ」
「オラオラ、そこの女も媚びた目してんじゃねえよ」
「オラオラ、男女共同参画とか言って、耳障りのいい言葉使ってんじゃねえよ」
「オラオラ、メンズリブとか言って、都合のいい自分探ししてんじゃねえよ。反省し ろよ」
てなもんである。

確かに、「オトコの暴力性をオンナが身につけてはなんの解決にもならない」とか 「やはり人殺しはよくない」とか、色々ございましょう。それはそれで100%正し い。
し・か・し、「オンナにだけヒューマニズムを求められても、こちとらそんなこたあ 知らねえよ」、ってな気分にもなるもんである。そんなヒューマニズムやPCを蹴 破ってでも、ナディーヌとマデュが見せてくれるもの。それにゲバ子は多いに陶酔す るのである。そして大きなパワーをもらえるのである。

さて、この「ベーゼ・モア」。フランスでは1週間の上映の後、保守派・極右派が占 める裁判所によって上映禁止処分を受けたとのこと。ゲバ子、この処分の理由などを フォローしてはいないのだが、一つ言えるのはこの映画は単に「行きすぎた殺人描写 や性描写」で禁止されたのではないのじゃないかということである。監督がある新聞 で語っていたように、この映画は「男が牛耳るブルジョア社会への批判」がもとに なっている。またポルノに出演したマデュが兄に「このフランスで職があると思って るの?」と言うセリフや二人の周囲の人を取り巻く退廃した空気にあるように、フラ ンスの階級社会とそれに対する政府の無策をも露呈している。この映画は、現在の男 (ブルジョア)中心の社会システムに十分な恐怖を与えてしまったんではないか。

今回のゲバは「ベーゼ・モア」の捧ぐと題してお送りする!!ゲバ子、この映画から もらったエネルギーを、性革命達成に向けて使っていく所存である!!
それにしても、この映画のように、オンナの作った過激でパンクな映画をもっともっ と観たいもんである!!同志キタハラ!!頑張れ!!



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